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 東京オリンピック・パラリンピックの延期に伴って中止となってしまった今年の聖火リレー。その象徴とも言える聖火リレートーチは、単に外見がきれいなだけではなく、聖火が消えないようにするために様々な技術を駆使して作られています。そんな聖火リレートーチの技術的な仕組みを、日経クロステック編集部のバーチャル記者「黒須もあ(β)」が動画で解説します。(日経クロステック編集部)

【解説動画】聖火リレートーチの秘密!【黒須もあ】
【解説動画】聖火リレートーチの秘密!【黒須もあ】
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 こんにちは、日経クロステック新人記者の黒須もあ(β)です。2020年3月26日に福島県からスタートする予定だった「東京2020オリンピック聖火リレー」は、東京2020大会の延期に伴って一旦中止になりました……そこで使われるはずだった聖火リレートーチには、実は日本のすごい技術がたくさん使われているんです!今回は、そんな聖火リレートーチの技術的な秘密を動画で解説しちゃいます!

見た目の美しさと炎が消えない強さを両立

 東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレートーチは、どちらも形は同じです。ほんのり赤みを帯びた「桜ゴールド」の方がオリンピック用、赤みやや強い「桜ピンク」がパラリンピック用となっています。オリンピックで咲き始めた桜がパラリンピックで満開になる、というイメージなんだそうです。この色に決まるまでに合計で300種類も試作を重ねたのだとか。

右から2番目が、聖火リレートーチをデザインしたデザイナーの吉岡徳仁さん!
右から2番目が、聖火リレートーチをデザインしたデザイナーの吉岡徳仁さん!
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 一方で、聖火リレートーチは見た目がすてきなだけではダメなんです。雨や風、寒さや暑さにかかわらず赤々と長く延びる炎が常に灯っている必要があります。ここに、日本企業の高い技術力が詰め込まれています!今回の聖火リレートーチは、「バケツをひっくり返したような」と言われる50ミリの雨が降っても、台風の強風域レベルの秒速17mの風が吹いても消えないのだとか!

 しかも、見た目を良くするために、聖火としての見た目が美しい炎と、雨風で消えない強い炎の2種類の炎を同時に出しているんです!美しい炎は、ガスを空気中に噴き出して赤い炎を高く上げる「拡散燃焼」を使い、聖火の炎が周囲からはっきり見えるようにしています。強い炎は、ガスと空気の混合気を燃焼させる「予混合燃焼」で、燃焼ユニットのてっぺんにある白金ドームを1500度もの高温の青い炎で白熱させ、強い光を出しています。

聖火リレートーチは真上から見ると桜の花びらの形をしているんです!
聖火リレートーチは真上から見ると桜の花びらの形をしているんです!
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 デザイナーの吉岡徳仁さんは、つなぎ目のない一体成形にこだわりました。製造工程では、アルミ合金から桜の花の形の断面を「押し出し成形」という手法で造ります。その後、断面部などを切削加工したり、燃焼ユニットをはめ込むためのスペースを旋盤加工でえぐったりして作っていきます。加工が全て終了した後、アルマイト処理で着色して仕上げます。重さは燃料を含めて1.2kgと、歴代の聖火リレートーチ中でも軽くなりました。

下部は外周部をほとんど切り落として中心部分だけが残り、上部は花びらの形となるように5つの楕円の先端部のみをわずかに切り落とします。
下部は外周部をほとんど切り落として中心部分だけが残り、上部は花びらの形となるように5つの楕円の先端部のみをわずかに切り落とします。
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 燃焼ユニットの構成は、下から上へとガスを流して最上部で火を燃やすように部品を配置してあります。燃焼ユニットは直径わずか30ミリの細い空間にほぼ収まっています。最下部にあるガスカートリッジも直径はほぼ30ミリでトーチの内部にぴったりと収まります。

見せる炎と消えない炎との役割が明確に分かれていたのが、小型化できた理由の1つなんだそうです。
見せる炎と消えない炎との役割が明確に分かれていたのが、小型化できた理由の1つなんだそうです。
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 実はこの配置は、ランナーの手に熱さを伝えない仕組みとしても役立っています。ガスカートリッジは、ガスが出るときに気化熱で温度が下がるため、上部の炎から伝わってきた熱をちょうど吸収するんだそうです。

ランナーが持つところは真夏でも熱くなく、むしろ冷たいくらいなんだとか!
ランナーが持つところは真夏でも熱くなく、むしろ冷たいくらいなんだとか!
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 燃焼ユニットをきょう体に組み付ける際には、ユニットをきょう体上部から差し込みます。抜けないように固定するためには、普通に考えれば穴を開けて表面からねじで止めれば簡単ですが、それでは外観を著しく損なってしまいます。そこで、きょう体の内面に突っ張る「ロックワッシャー」を使っています。

抜けないように固定する仕組みにも工夫を凝らしているんですね!
抜けないように固定する仕組みにも工夫を凝らしているんですね!
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それでは最後に…

 最後の締めに、いつものあれ、お願いします。クロステーック!!!

いつものあれ、いっしょにお願いします。「クロステーック!!!」
いつものあれ、いっしょにお願いします。「クロステーック!!!」
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