2020年3月に発売された新型「iPad Pro」。その目玉となっているのが、背面カメラ部に組み込まれた「LiDARスキャナー」です。日経エレクトロニクスは技術者の協力をもとに、実機を分解・分析しました。その様子を、日経クロステック編集部のバーチャル記者「黒須もあ」が動画で紹介します。(日経クロステック編集部)
こんにちは、日経クロステック記者の黒須もあです。本日は2020年3月に米Apple(アップル)が世界で発売した新型「iPad Pro」を分解しちゃいます!注目すべきは、Appleの端末としては初めて搭載された「LiDAR(Light Detection and Ranging)」センサー!2018年に発売された前モデルのiPad Proとも比較していきますよ!
それではiPad Proの分解スタート!今回分解するのは11インチモデルです。ディスプレーを外すと、真っ黒な内部が見えてきます。中央にある細長い部品がメイン基板で、その上には黒く塗られたシールドテープが貼られています。メイン基板を挟むように配置された大きな部品は、2枚の電池が一体となったリチウムイオン2次電池です!
メイン基板を取り出すには、周囲の部品から外していく必要があるようです。メイン基板を覆っていた黒いシールドテープを剥がすと、メイン基板の様子が見えてきました。しかし、まだ基板は外れません。新たにLiDARセンサーを搭載したリアカメラモジュールの方まで、メイン基板が伸びているんです!
まずフロントカメラのモジュールを外した後、リアカメラモジュールを取り外します!2眼カメラの左側にある、小さい目玉が2つ縦に並んだ部分がLiDARセンサーです!LiDARセンサーでは、レーザーを照射して反射してきた光を検知して、瞬時に対象物までの正確な距離を計測できます。LiDARセンサーの主な用途は、AR(Augmented Reality)で周囲の状況を把握するためだと言われています!
続いて、メイン基板の背面の接着剤をヒートガンで温めながらめくっていき、ついにメイン基板が外れました!2018年モデルのiPad Proと基板を比べてみると、大きな違いは形状です。2018年モデルは長方形ですが、今回の新型iPad Proは、リアカメラ側に細い基板が突き出たL字の形状になっています。突き出た先っぽにあるのはオーディオ信号処理IC。以前はプロセッサーの近くに配置されていたのが移動してきました!
新型iPad Proの心臓部となるプロセッサーには、Appleが独自に設計した「A12Z Bionic」を搭載しています。2018年モデルで搭載されていた「A12X Bionic」よりもグラフィックスの性能がアップしました。画像を処理するGPUコアが7個から8個に増えたからです。このほか、全体の処理を担当するCPUコアも熱設計を見直し、性能が高い状態のまま前より長く使えるようになりました、
iPad Pro分解もラストスパート!最後はリチウムイオン2次電池を外していきます。2枚の電池が下部でつながっていて、1つの電池として機能しています。それぞれ少しだけサイズが異なります。電池の厚みは、どちらも約3mmとかなり薄い形状です。コネクターを使わずに直接フレキシブル基板へ接続していて、おそらく全体の厚みを減らす工夫だとみられます。これで分解終了です!お疲れさまでした!
新型iPad Proの目玉機能であるLiDARセンサー、実は日経エレクトロニクスの編集部が専門家と協力してさらに詳細な分析をしています!日経エレクトロニクス8月号に解説記事を掲載していて、日経クロステックでも読めますよ!
ちなみに、「A12Z Bionic」の詳細な分析も、9月号の日経エレクトロニクスで掲載しています!どちらも記事下の関連記事にリンクがあるので、ぜひご覧ください!
それでは最後に…
最後の締めに、いつものあれ、お願いします。クロステーック!!!