2019年1月に米ラスベガスで開かれた世界最大の家電・技術見本市「CES 2019」。韓国のサムスン電子やLGエレクトロニクス、ソニー、米ビジオ(VIZIO)といったメーカーが、米アップル(Apple)の「AirPlay 2」に対応したスマートテレビを相次ぎ発表した。このニュースは意外性をもって伝えられたが、果たしてそうなのだろうか。
他社テレビでiTunesコンテンツを購入可能に
AirPlayは、iPhoneやiPad、MacなどのデバイスからテレビやスピーカーなどのAV機器に音声や映像を転送、再生するための技術。アップルの取り組みは長く、始まりは2004年に登場した無線LANルーター「AirMac Express」に遡る。「AirTunes」と呼ぶ機能により、同一ネットワーク上にあるスピーカーを自動認識し、設定不要ですぐに音楽を再生できる。Bluetooth対応ワイヤレススピーカーに比べ、簡単かつ快適だった。
こうした特長を残しつつ、映像転送に対応したのがAirPlayになる。さらにAirPlay 2でオーディオのバッファー機能を強化して低遅延化を図り、1台の端末から複数台のスピーカーで同時再生できるようにした。例えば手元のMacで映画を再生しつつテレビにミラーリングした場合も、音と映像がきっちり同期して楽しめる。
AirPlay 2で音楽や映像を再生できるデバイスはこれまで、Apple TVやHomePod、AirMac Express、「Works with Apple AirPlay」のロゴがあるオーディオスピーカーに限られていた。米ソノス(Sonos)のようにAirPlay 2を使い、無線LANを内蔵したスピーカー単体でApple Musicをサポートする製品も登場している。
今回、主要なスマートテレビがAirPlay 2への対応を表明したことにより、今後はApple TVなしでもiPhoneやiPadの映像を映し出せるようになった。スマートフォン市場で競合するサムスン電子に至っては「iTunes Movies & TV Shows」アプリの搭載により、テレビ単体でiTunesコンテンツの購入やレンタルまでを可能にした。