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オーディオ体験を進化させるHシリーズ

 アップルはこれまで、iPhoneやiPadのメインプロセッサー「Aシリーズ」、モーションコプロセッサー「Mシリーズ」、Apple Watchのメインプロセッサー「Sシリーズ」、ワイヤレスチップ「Wシリーズ」、セキュアブートやファイル暗号化を担う「Tシリーズ」といったカスタムチップを展開してきた。今回、このラインアップに「Hシリーズ」が新たに加わったことになる。

 アップルは今回のH1について、「ヘッドホンチップ(headphone chip)」と紹介している。AirPodsがこれまで搭載していたW1はあくまでワイヤレスチップであり、Hシリーズはワイヤレスの効率化ではなく、ヘッドホンの質を高めていく方針であることを示しているとみることができる。

 H1では接続デバイスの切り替えや音声通話の開始までのタイムラグを大幅に減らしてストレスを軽減したほか、ゲームのようにタイミングが重要な場面での音楽再生の遅延を30%削減した。さらに高音質化を図ったとするが、これについては技術的な背景の解説とレビューを待つ必要があるだろう。

 一方、今回のH1で実現しなかったのは、ノイズキャンセリングや音場効果の設定、音の方向と首の動きを連動させた「音のAR(拡張現実)」といった新しいオーディオ体験だ。AirPodsとは別の製品になるかもしれないが、Hシリーズの進化によってこれらを実現していく計画を立てているのではないかと予測している。

松村 太郎(まつむら たろう)
ジャーナリスト
松村 太郎(まつむら たろう) ジャーナリスト・著者。1980年東京生まれ。慶応義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。キャスタリア取締役研究責任者として、教育とテクノロジーによる社会問題の解決に取り組み、プログラミング必修の通信制高校、コードアカデミー高等学校の設立などに携わる。近著は、『LinkedInスタートブック』(日経BP社)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP社)など。