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既存住宅を壊さずに、擁壁を災害に強い仕様に改める取り組みが熊本県と奈良県の宅地で進む。
熊本県益城町辻の城地区では、2016年4月の熊本地震で崩壊した擁壁の復旧工事が18年9月に始まった〔写真1〕。擁壁は崖上の12宅地の地主が保有するものの、益城町が大規模盛土造成地滑動崩落防止事業を利用して、全額公費で修復する。改修費は2億5000万円に達する。
この住宅地では、間知ブロックにコンクリートブロックを載せた既存不適格な増し積み擁壁に、住宅を接近させて建築していた。擁壁に過剰な積載荷重が加わった状態で震度7の揺れを受けたので、荷重を支えきれなくなって崩壊したとみられる。