全3115文字

書類を一緒にブラッシュアップ

 Nさんの転職支援で、私が工夫したことがもう1つあります。「面談の所感」「推薦理由」など応募企業に提出する資料を、事前にNさん本人に見てもらったことです。

 通常はわざわざ本人にお見せしないのですが、Nさんにはあえて確認してもらいました。Nさんのように客観的な分析力を備えた方なら、一緒に書類をブラッシュアップすることでより良い内容にできると感じたからです。

 実際にNさんから、「この部分はちょっとニュアンスが違う」「このポイントはより深く言及してほしい」などの指摘がありました。このプロセスを踏んだことで資料を改善できたほか、Nさんとの信頼関係が深まったと感じました。これ以来、私は相談者の皆さんに資料をお見せし、理解をより深めるようにしています。

 Nさんの内定後、お祝いに2人でランチを取っていたときのことです。突然、テーブルにケーキが運ばれてきました。それはNさんからのお礼のサプライズプレゼントでした。

 おじさん2人でケーキを囲むのはちょっと気恥ずかしいものがありましたが、「信頼されるパートナーになる」という当初の目標を達成できたのだと感じ、とてもうれしい思い出として記憶に残っています。

未知の領域の専門家は、正しく評価できない

 Nさんに限らず、「会社から正当に評価されていない」と感じるエンジニアはたくさんいます。どうしても会社を悪者にしてしまいがちですが、実際には会社側に悪気がないケースも多くあります。

 最近は多角化戦略により、本業とは異なる分野に進出する企業も増えています。新規事業のためにその道の専門家を迎え入れた場合、未知の分野であるが故に、正しく評価できていないこともあります。

 私も転職エージェントとして、こうした状況を変えるためのお手伝いをしていくつもりです。同時に、現在の評価に不満を感じているエンジニアの方には、Nさんのように環境を変えることで正当な評価を受けられる可能性があることを、お伝えしていきたいと思っています。

平野 竜太郎
リクルートキャリア 建設技術者・不動産専門職領域専任シニアコンサルタント
平野 竜太郎 出版社にて編集・営業として勤務後、2007年にリクルートキャリアに入社。建設業界、不動産業界のハイキャリア層を10年以上担当する。ゼネコンから専門工事業者、組織設計事務所の建設技術者から不動産専門職・不動産金融領域まで、幅広い支援実績を持つ。