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●技術の知見
 どんな分野でGXの求人が増えているか、つまりどんな技術的知見があればGX関連の求人に応募し得るかは、経済産業省が2021年に公開した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」などが参考になります。このリポートで重要とされた分野は、以下の14項目です。

(1)洋上風力、太陽光、地熱産業(次世代再生可能エネルギー)
(2)水素・燃料アンモニア産業
(3)次世代熱エネルギー産業
(4)原子力産業
(5)自動車・蓄電池産業
(6)半導体・情報通信産業
(7)船舶産業
(8)物流・人流・土木インフラ産業
(9)食料・農林水産業
(10)航空機産業
(11)カーボンリサイクル・マテリアル産業
(12)住宅・建築物産業・次世代電力マネジメント産業
(13)資源循環関連産業
(14)ライフスタイル関連産業

 企業で特に新規事業の企画・開発などの求人が増えているのは、上記の(1)(2)(3)(5)(6)(7)(8)(11)などの産業です。もちろん、その他の分野にも求人はあり、例えば「農業が分かる人材」など過去になかったニーズも生まれています。

 各企業が採用情報に掲げるポジションには、以下のようなものがあります。

・新規事業探索、調査、研究
・研究テーマの企画推進
・新しいビジネスモデルの創出、ビジネスモデル構築
・電気事業関連の事業戦略、事業計画の立案・実行
・エネルギーマネジメントの事業創造・推進
・水素関連事業推進
・グローバル環境戦略担当

 業務内容は幅広く、ポジションの説明に含まれる新規事業の調査・研究のほか、先ほど挙げた政策渉外(ルールメーク)、さらにマーケティング、事業提携・M&Aなどの要素も含まれます。とはいえGXを推進するには、こうした多様な仕事の軸となる技術への理解が欠かせません。そこで、技術に明るい人材へのニーズが高まっているのです。

●社内外のステークホルダーとのコミュニケーション力
 GX人材の採用では従来の研究開発職のように、特定の専門分野に関する「狭く深い」技術知識を求められるとは限りません。「広く浅い」知見でも採用される可能性があります。

 GXプロジェクトの推進に当たっては、財務・法律・サプライチェーンなど他のさまざまな専門家との協業が必要です。社内の他部署との連携が欠かせないうえ、ルールメークのように社外も含め多くのステークホルダーとやり取りが発生する業務も多数あります。

 そのため、採用時には専門性以外のパーソナルスキル(コミュニケーション力、交渉力などの対人スキル)も重要視されます。新しいことに適応し、プロジェクトを推進していく力が必要なのです。実際に筆者が採用コンサルタントとして見聞きした中には、技術力以上に「社内外の各部署を巻き込み、引っ張っていってくれそう」な点が評価され、採用に至った事例もあります。