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 沸騰する半導体需要の高まりに応じて、半導体関連のエンジニア求人が増えている。採用の傾向や課題について、リクルートでエレクトロニクス、半導体分野の転職支援を手掛ける井上和真氏が解説する。

 半導体市場が活況を呈し、同業界では設計・開発、プロセスエンジニア、フィールドエンジニアなどあらゆる職種で採用が拡大しています。半導体業界経験者のニーズが高まっているだけでなく、異なる業界のエンジニアが転職するケースも増えています。今回は、半導体業界における転職市場拡大の背景や課題を見ていきましょう。

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環境対応、リモート勤務拡大が半導体市場の拡大を後押し

 半導体市場拡大の背景には、ESG(環境・社会・企業統治)並びにDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進があります。

 ESGで特に注目されているのはカーボンニュートラル、脱炭素などの「E(環境)」を取り巻く社会課題です。カーボンニュートラルは「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」ための取り組みを指します。

 カーボンニュートラルの実現に向けて太陽光発電・風力発電など再生可能エネルギーに政府が力を入れ、取り組む企業も増えた結果、電力を制御するパワー半導体のニーズが高まっているのです。

 さらに、自動車業界の開発がEV(電気自動車)へとシフトしつつあります。例えばトヨタ自動車は2021年12月、2030年までに30車種のEVを展開すると発表しました。EV開発競争が国際的に激化しているのです。今後EVの普及が進めばパワー半導体だけでなく、センサー、データを制御するCPU、画像を処理するGPUなど様々な半導体の需給逼迫(ひっぱく)が予測されます。

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 半導体需要の高まりのもう1つの要因はDXです。DX推進の動きは新型コロナ禍によって急速に拡大し、テレワークなど働き方のデジタル化が進みました。オンラインでの商談やサービス提供が一般化し、3次元の仮想空間「メタバース」も注目を集めています。

 オンライン並びに仮想空間を活用したサービスの需要は、今後も拡大が見込まれます。これを受けて、大容量データのやり取りを支える通信機器など、データセンター向けの半導体需要が高まっています。