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 DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが加速する中、それを担う人材の獲得に苦労している企業が少なくない。なぜ難しいのか、何から着手すればよいのか。リクルートキャリアでIT分野の転職支援を手掛ける、早崎士郎氏と内堀由美子氏が明かす。

 以前から活発な採用が続いている「DX(デジタルトランスフォーメーション)」関連の求人ですが、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、動向に変化が見られます。

 コロナ禍以前、過去1~2年の間にDX推進人材を積極採用していたのは、システムインテグレーターなどのITベンダーや、コンサルティングファームが中心でした。つまり、事業会社のクライアントに対してDX推進を支援する側が人材を求めていたのです。

コンサルやITベンダーから始まり、事業会社にもDX人材採用の波

 一方、事業会社がDX推進人材を求めるケースは、ごく一部の先進的な大手企業に限られていました。小売り・建設・不動産など、IT活用が比較的遅れていたといわれる業種のトップクラスの企業です。「業務効率化」や「働き方改革」、あるいは「サービスの変革」に意識高く取り組む企業が、DX人材を採用していました。

 しかしコロナ禍以降、多くの企業が「初めてリモートワークを導入する」といった小さなDXを進める中で、「会社自体を大きく変えていこう」という意識の転換が起こりました。上記の一部大手以外にも、多くの事業会社がDX人材を募集し始めました。

 2020年4~6月にリクルートキャリアに寄せられたDX関連の新規求人は、19年同期比で約4倍に増加しました。現在もなお新規の求人依頼が入ってきています。求人以前に、「DXのためにどんな組織をつくったらいいのか」という相談も増えています。

 以前に比べ、求人企業の顔ぶれも多様化しました。先に挙げた小売り・建設・不動産などに続き、金融機関や各種メーカーからもDX人材を求める声が高まっています。

プロジェクトマネジャーやデータ解析のスペシャリストを募集

 このように急増する「DX推進人材の求人」とは、具体的にどのようなものなのでしょう。企業によって内容は異なりますが、多く見られるのは「プロジェクトマネジャー」「DX戦略担当」といった呼称の求人です。また「データコンサルタント」「データサイエンティスト」など、データを扱う専門職を求める企業が多いのも特徴的です。

 必要な人材は、当然ながら求人企業のDXの取り組みフェーズによっても異なります。現在はDXに着手したばかりの企業が多いため、部門の立ち上げから任せられる事業部長クラスを求める求人が多数。中には、役員クラスの人材を年収数千万円の条件で迎えようとする企業もあります。

 一方、すでにDX部門が立ち上がっている企業では、プロジェクトを推進するリーダーやメンバークラスの採用の波も来ています。今後も、「事業責任者」→「リーダー」→「メンバー」の流れで、DX関連プロジェクトに携わる人材採用の裾野が広がっていくでしょう。