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 事業会社でDX(デジタルトランスフォーメーション)を担う人材の採用が積極化している。企業ごとのDX推進フェーズによって、必要な人材は異なる。どんなフェーズでどんな人材が評価され、求められるのか。リクルートキャリアでIT分野の転職支援を手がける、早崎士郎氏と内堀由美子氏が明かす。

 最近ではITベンダーやコンサルティング会社だけでなく、事業会社においてもDXを推進する人材の採用が活発になっています。前回の記事ではその背景と、DX推進人材の採用にあたって多くの企業がつまずきがちなポイントを紹介しました。

 今回は、DX推進のフェーズごとに求められる人材像の変化について見てみましょう。「DX推進人材」の求人といえば、「データサイエンティスト」「データアナリスト」などの専門職、あるいは過去にDXを担当したことがある人材をイメージする人が多いのではないでしょうか。

 ところが現実に採用の対象となっているのは、データのスペシャリストやDX経験者だけではありません。そもそもDXには経験者が少ないため、未経験者にも門戸が開かれています。ではどんな人にチャンスがあるのか、実際の転職事例も交えて見ていきましょう。

DX推進フェーズによって必要な人材は異なる

 事業会社におけるDX推進人材の獲得方針は、「自社のDXがどのフェーズにあるか」によって変わります。これまでの例を踏まえ、一般的な流れをご紹介しましょう。

 DX推進部門の立ち上げ時期には、まず事業責任者(部門長・推進室長など)を採用します。経営陣とともに、「デジタル技術を活用して何をするか」「自社のどの部分をデジタル化すれば収益アップや業務効率化につながるか」といった戦略策定ができる人材が必要です。

 事業責任者が決まり、DXの方向性が定まったら、続いてマネジャー、リーダークラスを採用していきます。組織マネジメントやプロジェクトマネジメントの経験者が求められます。

 以上のメンバーが社内の既存の情報システム部門や外部のパートナー企業との連携を進め、DX推進がいよいよ本格化しそうだと判断したら、メンバークラスの採用に着手します。メンバーの採用には数カ月から半年程度をかけ、20~30人規模の体制を整えるのが一般的です。

 以上のフェーズが、いわばDXチーム編成の「第1期」といえるでしょう。現在は、「第1期」のマネジャー・リーダークラスを採用するフェーズの企業が多い状況です。

 ちなみに早期にDX推進を開始した企業は、現在「第2期」の採用活動に入っています。例えば1年ほど前にDX部門を立ち上げたある企業では、初期のDXチームとして30~40人を採用。組織がうまく回るようになったため、今年度はメンバークラスを30~50人増員する計画で採用活動を進めています。