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IT・ネット業界から事業会社へ、「DX人材」としての転職成功事例

 実際にITやインターネット関連の業界から、事業会社のDX担当に転職した方々の事例をご紹介しましょう。

●前職で培った「伝達スキル」が評価されたAさん(20代後半)

 システムインテグレーターに所属し、金融業界のクライアント企業先に常駐勤務していたAさん。「『自分の会社』で変革を推進していく仕事がしたい」と考え、事業会社への転職を決意。大手物流企業のDX推進部門に迎えられました。

 その物流企業では、一からデジタル化を企画・構築するフェーズを終え、各部門の現場で新しいシステムの活用を啓もうしていく人材を求めていました。Aさんは前職においても常駐先の金融機関でシステム導入・運用のサポートを経験し、「ITリテラシーが低い人に対しても分かりやすく説明する」役割を担っていました。そのスキルがそのまま生かせると評価されたのです。

●「ビジネス観点」「チャレンジ精神」が評価されたBさん(30代後半)

 システムインテグレーターでSEとして勤務していたBさんは、大手企業グループで事務やコールセンター業務などのアウトソーシングサービスを手がける企業に転職しました。今後はサービスのデジタル化を予定しており、それをゼロから企画・推進するポジションです。

 上流工程やプロジェクトリーダーの経験はなかったBさんですが、ゼネラリストとして広く浅く経験を積んでおり、幅広い部署・職種と協業する力があることが認められました。また、副業で自分のビジネスを運営した経験があり、「ビジネス・経営の観点」を持っていること、そして未知の領域へのチャレンジ精神が旺盛であることが評価され、採用に至りました。

●「ECサイト」運営の経験が評価されたCさん(30代後半)

 約10人規模のネットショップ運営会社で、リーダーの立場でネットショップの構築・運用を手がけていたCさん。電子商取引(EC)の知識・経験が買われ、今後、ECサイトの強化を図ろうとする数百人規模の電気機器メーカーに採用されました。

 これらはほんの一例です。このように、データのスペシャリストやDX経験者に限らず、幅広いバックグラウンドを持つ人が「DX推進人材」として採用される可能性があるのです。

 テクノロジーは時間がたつとともにコモディティー化するものです。コモディティー化するにつれ、将来的にはデジタル技術の利用ハードルは今より低くなるでしょう。利用価格も下がり、アウトソーシングしやすくなると考えられます。

 そうなれば、DX推進プロジェクトに関わるために、高度な専門知識や技術は今ほどには必要とされなくなることも考えられます。「マーケット特性や顧客を知っている」「業務の細部を知っている」といった人が主軸になって、改革を進めていくようになるのではないでしょうか。つまり、今後「DX推進人材」はさらに多様化していくと思います。

 いずれにしても「経験者」がまだまだ少ない今は、DX分野へ一歩を踏み出し、新たなキャリアを築くチャンスの時期といえるでしょう。

早崎 士郎
リクルートキャリア エージェント事業本部 首都圏第一統括部 インターネット・金融営業部
早崎 士郎 入社後から一貫して、インターネット領域の企業の採用支援を行う。スタートアップから超大手まで100社以上を担当。現在は同組織にてマネジャー職に従事。
内堀 由美子
リクルートキャリア ハイキャリア・グローバルコンサルテイング部
内堀 由美子 一貫してインターネット領域における転職支援および企業の採用支援に従事。現在は、企画・デジタルマーケティングなどのインターネット専門職専任コンサルタントを務める。