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崩壊の顛末(てんまつ)

 複数の製造課を擁する工場がある。これをV工場と呼ぼう。V工場の主力は前工程を担当する製造1課と、後工程を担当する製造2課だ。製造1課は、主に大型の設備を使って大量生産している。一方、製造2課は製造1課が前工程で大量に造った中間製品をユーザーの求めるさまざまな仕様に応じて加工する多品種少量生産を担当している。

 ある時、このV工場は顧客からの強いコスト改善要求に直面した。それまでは課ごとに、すなわち前工程と後工程が別々に原価低減の活動を行っていた。これをやめ、顧客からのアドバイスも受けて、前工程と後工程が協業して、より効率が良くなる改善案を工場全体で検討することになった。

 工場長の決断に対し、製造1課と製造2課の両課長は「大きな改善成果を得るために、前工程と後工程が協業して改善の取り組みを行うのは良いこと」と言い、非常に前向きに見えた。工場長はこの取り組みが成功することを確信し、両課長を中心とした改善プロジェクトを立ち上げた。

 改善プロジェクトの初回の会合には顧客の幹部も参加し、技術的なアドバイスを提供するなど協力を惜しまないと表明してくれるなど、勢いよくスタートした。しかし、結果は惨たんたるものに終わってしまった。

(作成:日経 xTECH)
(作成:日経 xTECH)
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 改善プロジェクトに賛成していたはずの製造1課長が、実際に活動が始まると、他部門からの改善提案にことごとく抵抗を示したのだ。技術的な課題や操業上の支障など、いかに提案された案が実現困難なものであるかを主張し始めた。製造2課長がいら立って「あなたはこの改善プロジェクトに反対なのですか」と問うと、製造1課長は「改善に反対などとは言っていませんよ。ただ問題点を指摘しただけです」と言うのだ。結局、製造1課は改善活動には賛成を示すものの、個別の議論では「できない理由」を挙げることに終始。いくつも提起された改善案に合意することはなかった。これにより、工場全体が協業するというコンセプトの改善活動は“死に体”となってしまった。

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