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解決への処方箋

(作成:日経クロステック)
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 管理者は相手によって態度を変えたり、意見を変えたりすべきではない。論理的、あるいは合理的な理由を基に「こうすべきだ」と考えたことは、上司であれ部下であれ、一貫した態度で臨まなければ、組織からは「日和見主義(ある考えに基づいて行動するのではなく、状況や形勢を見て、有利な方に追従すること)」や「風見鶏」などと揶揄(やゆ)されて、信頼を失ってしまうと考えてほしい。

 ただし誤解しないでほしいのは、筆者は「朝令暮改」を否定しているわけではないという点だ。現場に比べて手に入る情報量が多い管理者には、必要に応じて判断を変えることができる柔軟性が求められる。論理的、あるいは合理的に妥当な判断に基づいて考えを変化させることは、むしろ管理者にとって必要なスキルだ。朝令暮改が悪いニュアンスで語られるのは、考えが変わった理由を組織に適切に説明できておらず、現場が大いに不満を感じるからである。

[1]経営幹部に取り繕わなければならないことは言わない

 工場において「設備のメンテナンスが重要」であることは絶対的に正しい。品質やコスト、納期、そして安全を確保するために、設備のメンテナンスは必要不可欠だ。その絶対的に正しい事項に対し、「多忙だから」といった言い訳で、現場に対して設備のメンテナンスを軽視するような発言をしてはいないだろうか。

 当然だが、経営幹部から設備のメンテナンス不備を指摘された場合に、「忙しかったので設備のメンテナンスの手は抜くように指導しています」と言えるわけがない。いろいろと取り繕いながら、体よく言い訳するしかない。読者も自身の言動を振り返ってほしい。もし心当たりがある場合は、上司の前と部下(現場)の前とで態度を変えるようなことは慎むべきだ。

[2]経営幹部目線で現場巡視を行ってみる

 普段、自分が許容しているか否かは別にして、例えば、社長や役員などの経営幹部が現場巡視に来たと想定し、指摘される可能性があると思われる場所を、巡視を受ける当事者ではなく、経営幹部の立場になって巡視することを勧める。

 工場の管理者は現場の「実情」をよく知っているため、つい客観的な目線で見ることを忘れ、当事者の1人として問題点を黙認してしまうところがある。「今日は忙しいから、指摘は控えておこう」といった感じだ。また、当事者のトップとして、問題点をあえてごまかすかのように能動的に動くことすらあるだろう。こうした姿勢そのものが問題といえるが、まずは自分の工場の状況を客観的に眺めることができるスキルを高めてほしい。経営幹部が工場の現場巡視に来たときに指摘されそうな点や、取り繕わなくてはならない点を、冷静に把握するのである。

 当然、それをそのまま現場に指摘すると、現場から「どの口が言っているんだ」と反感を買うこともある。気づいた点を場当たり的に対応するのではなく、まずは冷静に事実確認をする。それから、現場リーダーのような中核の人材と、今後どう改善すべきかを議論してほしい。