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 総合ベンチマークソフト「PassMark」の「Memory Mark Ranking」を参考に、種別の違いによる性能差を見てみよう。

総合ベンチマークソフト「PassMark」のメモリー性能スコア
総合ベンチマークソフト「PassMark」のメモリー性能スコア
「PassMark iOS Memory Mark Rating」の2019年1月23日時点の結果。スコアが大きいほど高速だが、メモリー帯域と単純に比例するわけではないようだ。URLはhttps://www.iphonebenchmark.net/memmark_chart.html
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 iPhoneの値を抽出したのが以下のグラフである。

iPhoneのPassMark iOS Memory Mark Rating
iPhoneのPassMark iOS Memory Mark Rating
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 数字が大きいほど、メモリー帯域が広いことを意味する。PassMarkのメモリーテストは、単純にメモリーに対して毎秒何回読み書きできるかを測定する内容で、CPUの性能やCPU内のキャッシュメモリーの容量の多寡がそのままスコアに反映される傾向がある。iPhone 7の32Gバイト版のスコアのみ高くなっている理由は不明だが、SoCの世代が進むごとに着実にメモリーの帯域が広がっているのが見てとれる。

ストレージはeMMCからUFSへ

 続いて、もう一つのメモリーであるフラッシュメモリーの容量と性能を見てみよう。「ストレージ」と呼ばれる類いのメモリーで、iPhoneでは「NAND Flash」と呼ばれるフラッシュメモリーを直接制御するタイプのメモリーモジュールや、PCのSSDに近い「eMMC(Embedded MultiMediaCard)」や「UFS(Universal Flash Storage)」と呼ばれるストレージを用いたものが使われている。

 容量はiPhone初期型で4G~16Gバイト、最新のiPhone XS Maxでは最大512Gバイトと、メモリーよりもずっと容量が多い。ストレージの特徴は「電源を切っても中身が消えない」ことだが、CPUから直接アクセスできず、ストレージコントローラー経由での読み書きになる。メモリーに比べると、数桁は読み書きを始めるまでの時間(アクセス速度)が遅い。

 初代iPhoneからiPhone 3GSあたりまでは、4G~16Gバイトのフラッシュメモリー(NAND型フラッシュメモリー)が搭載されていた。これは単純に4G/8G/16GバイトのNANDフラッシュチップをそのまま基板上に実装した何のひねりもないものだ。

 iPhone 4以降は、NANDフラッシュの微細化に伴うエラー率の上昇を背景に、エラー訂正やウエアレベリング(特定の素子へのアクセス集中による劣化を防ぐ機構)などをフラッシュメモリーチップ内の専用コントローラーで処理するようにした。これがMMCという方式で、基本はメモリーカード用の仕様だ。組み込み機器向けには、これを基板に実装できる「eMMC」が2013年に業界団体のJEDECで標準化された。