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 ただアップルは、この標準化を待たずにeMMCへの移行を決めている。時期的に言えば、iPhone 5の頃だ。同機に搭載されたApple A6は、eMMC 5.0に準拠した16G~64GバイトのNANDストレージを搭載している。当時のフラッシュメモリーベンダーが、2Gバイトを超える容量の製品をeMMC方式での提供に移行しつつあったという背景もある。

 このeMMC、仕様上は最大400Mバイト/秒のデータ転送性能を持つ。NANDフラッシュ単体だとせいぜい数十Mバイト/秒台でしかないのだが、eMMCでは複数のNANDフラッシュを並行駆動するコントローラーで性能を上げられる。

 当初は400Mバイト/秒の帯域は到底使い切れない程度の実効速度でしかなかったが、NANDフラッシュが微細化と大容量化を進める中で単体の読み書き速度が向上し、400Mバイト/秒の帯域では心もとなくなってきた。そこで、より大容量かつ高速なストレージについてはUFSに準拠するようになった。

 UFSそのものはeMMCに先んじて2011年から策定されている仕様で、当初は帯域が300Mバイト/秒でしかなかった。2013年には1.2Gバイト/秒の帯域を持つUFS 2.0が、2018年には2.9Gバイト/秒の帯域を持つUFS 3.0が制定された。ハイエンドのスマートフォンを中心にeMMCからUFS 2.0/2.1対応に移行し始め、2018年からはUFS 3.0に対応したものも加わりつつある。

iPhone 6s以降で性能向上に弾み

 インターフェースの動向を踏まえた上で、PassMarkの「iOS Disk Mark Rating」を見てみよう。

総合ベンチマークソフト「PassMark」のストレージ性能スコア
総合ベンチマークソフト「PassMark」のストレージ性能スコア
「PassMark iOS Disk Mark Rating」の2019年1月23日時点の結果。URLはhttps://www.iphonebenchmark.net/diskmark_chart.html
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 iPhoneのスコアを抽出したのが以下のグラフである。

iPhoneのPassMark iOS Disk Mark Rating
iPhoneのPassMark iOS Disk Mark Rating
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 iPhone 5/5cの世代で一段性能が上がり、iPhone 6sの世代からさらに引き上げられているのが分かる。前者がeMMCへの移行、後者がUFSへの移行とみられる。

 UFSに関しては、今のところまだ帯域を使い切れていない状態だ。結果として、NANDフラッシュの容量が増える、すなわち同時に読み書きできる素子が増える世代ごとに、どんどん性能が上がっているのが分かる。

 ちなみにメモリーベンダーは、UFSをさらに上回る帯域を持ち、PCやサーバーで普及し始めた「NVMe SSD」をスマートフォン向けに用意できる点をアピールしている。将来のiPhoneは、NVMeへの移行でさらに高速化が進むかもしれない。