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 JR大阪駅周辺で進められている巨大な再開発の要となる施設が、2023年3月18日に一足早く開業する。JR西日本は大阪駅そのものを拡大し、「大阪駅(うめきたエリア)」に新しい改札口「うめきた地下口」を開設する。同時に、駅の西側エリアには「西口」をつくる。そして、うめきた地下口と西口を改札内の地下連絡通路で結ぶ。

「大阪駅(うめきたエリア)」に新しい改札口「うめきた地下口」ができる。供用開始は2023年3月18日(出所:JR西日本)
「大阪駅(うめきたエリア)」に新しい改札口「うめきた地下口」ができる。供用開始は2023年3月18日(出所:JR西日本)
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大阪駅西側エリアに新設される西口のイメージ(出所:JR西日本)
大阪駅西側エリアに新設される西口のイメージ(出所:JR西日本)
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うめきた地下口はこれまでの大阪駅と改札内の地下連絡通路でつながる(出所:JR西日本)
うめきた地下口はこれまでの大阪駅と改札内の地下連絡通路でつながる(出所:JR西日本)
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 西口ができ、うめきた地下口とつながれば、大阪駅の西側エリアの利便性は飛躍的に高まる。西口に直結する39階建ての超高層ビル「梅田3丁目計画(仮称)」が24年に誕生し、さらに活気づく。

 大阪駅の北西に広がる貨物ヤード跡地では、三菱地所を代表企業とする事業者JV9社が「うめきた2期地区開発事業(仮称)」を推進中だ。そのエリアの一番駅寄りに、うめきた地下口は誕生する。25年には、3階建ての駅ビルと駅前広場もできる予定だ。

「うめきた2期」の建設現場を駅近くの高層ビルから見下ろした様子。工事中の敷地内には地下ホームへの入り口や、「うめきた公園(仮称)」の広場になる部分が確認でき始めている。23年1月時点(写真:日経クロステック)
「うめきた2期」の建設現場を駅近くの高層ビルから見下ろした様子。工事中の敷地内には地下ホームへの入り口や、「うめきた公園(仮称)」の広場になる部分が確認でき始めている。23年1月時点(写真:日経クロステック)
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うめきた2期の配置図。22年5月時点の資料(出所:うめきた2期開発事業者JV)
うめきた2期の配置図。22年5月時点の資料(出所:うめきた2期開発事業者JV)
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 うめきた2期の一部は、24年夏にも先行して街開きをする。全体開業は27年度を予定している。うめきた地下口の利用が本格化するのは24年以降になる。

 ただし、23年3月のダイヤ改正で、これまで大阪駅を経由しなかった関西国際空港を結ぶ特急「はるか」と和歌山方面を結ぶ特急「くろしお」が、大阪駅(うめきたエリア)に停車するようになる。「おおさか東線」も新大阪駅から大阪駅まで乗り入れを開始し、大阪駅を起点とする交通アクセスが便利になる。駅構内や周辺の商業施設に人が集まることが期待される。

これまで大阪駅を経由しなかった特急電車がうめきたエリアの地下ホームに乗り入れる(写真:JR西日本)
これまで大阪駅を経由しなかった特急電車がうめきたエリアの地下ホームに乗り入れる(写真:JR西日本)
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 地下ホームの新設で今後、大阪駅は一層の混雑が予想される。そのため、JR西日本は新しい改札機の実証実験を23年3月から、うめきたエリアで開始する。従来のICカード改札機とは別に、まるで空港のセキュリティーゲートのような顔認証改札機を設置。まずは大阪駅のうめきた地下口と新大阪駅の東口の間で試行する。顔認証改札機では事前登録する顔画像で本人を特定し、ゲートがない改札を立ち止まらずに通り抜けられるようにする。

うめきた地下口で顔認証改札機の実証実験を開始(出所:JR西日本)
うめきた地下口で顔認証改札機の実証実験を開始(出所:JR西日本)
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大阪駅のうめきた地下口と新大阪駅の東口の間で、顔認証改札機の試行を始める(出所:JR西日本)
大阪駅のうめきた地下口と新大阪駅の東口の間で、顔認証改札機の試行を始める(出所:JR西日本)
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 だいぶ先だが、31年には大阪駅(うめきたエリア)を起点として大阪中心部の南北をつなぐ「なにわ筋線」が開業する。様々な車種が入線する地下ホームには将来を見据えて、世界初のフルスクリーンホームドアも先行導入。利用者が迷わず乗車できるように工夫する。

大阪中心部の路線図。万博に向けて、関西国際空港や会場となる夢洲へのアクセスを強化する。図中央の南北に延びる点線は、31年開業の「なにわ筋線」(出所:JR西日本)
大阪中心部の路線図。万博に向けて、関西国際空港や会場となる夢洲へのアクセスを強化する。図中央の南北に延びる点線は、31年開業の「なにわ筋線」(出所:JR西日本)
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世界初のフルスクリーンホームドアを導入(出所:JR西日本)
世界初のフルスクリーンホームドアを導入(出所:JR西日本)
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 JR西日本は大阪駅(うめきたエリア)を新しいテクノロジーを具現化する「未来駅」に位置付けている。25年の大阪・関西万博までには、顔認証改札機やフルスクリーンホームドアが普及しているかもしれない。