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 「大阪の迎賓館」と呼ばれ、長年親しまれてきた老舗ホテルが土地と建物を海外の不動産投資会社に売却したうえで、外資系ブランドに切り替わる。2023年1月20日、ロイヤルホテルは大阪・中之島にある旗艦ホテル「リーガロイヤルホテル(大阪)」の土地と建物の信託受益権などをカナダ系のベントール・グリーンオーク・グループ(BGO)に同年3月末に譲渡すると発表した。売却額は非公表だが、譲渡益は約150億円になる予定だ。

 BGOはさらに135億円を投じて、1965年のホテル竣工以来、最大規模のリノベーションを実施する。改修中も現ホテルの営業は継続する。

 ロイヤルホテルはBGOと資本業務提携し、BGOはロイヤルホテルに33%出資。筆頭株主になる。IHGホテルズ&リゾーツとも提携し、新しいホテルの名称を「リーガロイヤルホテル(大阪)-Vignette Collection(ヴィニェット コレクション)」に変更。2025年3月以降にリニューアルオープンする。刷新後のホテル運営も、ロイヤルホテルが受託することでBGOと基本合意した。

大阪・中之島にある土地と建物を海外の不動産投資会社に売却し、外資系ブランドに切り替わる道を選択した老舗ホテル「リーガロイヤルホテル(大阪)」。現在の施設は老朽化が進んでいた(写真:ロイヤルホテル)
大阪・中之島にある土地と建物を海外の不動産投資会社に売却し、外資系ブランドに切り替わる道を選択した老舗ホテル「リーガロイヤルホテル(大阪)」。現在の施設は老朽化が進んでいた(写真:ロイヤルホテル)
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 リーガロイヤルホテル(大阪)は地下2階・地上30階建てで、客室数は1039室。延べ面積は実に17万m2を超える巨大施設だ。25年の大阪・関西万博を機に、外資系の力で新たなステージに突入する。IHGの最上級ブランドであるヴィニェット コレクションは、日本初進出となる。

 ロイヤルホテルは15年ごろから、ホテルの建て替えを含めた中之島5丁目地区の再開発協議に関与してきた。そのさなか、コロナ禍で業績が悪化。22年にはBGOと話し合いを始め、今回の決断に至った。

 現在のリーガロイヤルホテル(大阪)は、建築家の吉田五十八が設計に関わったことで知られる。今後の改修・改装で、どこまで保存されるかは不明だ。BGO主導のリノベーション対象は、約1000室ある客室にとどまらない。宴会場やレストラン、公共エリアなども含まれる。劣化したハードは全面刷新を予定している。ただし、リーガロイヤルホテル(大阪)の伝統や歴史を尊重した改修や改装のデザイン案を検討する。同時に、ヴィニェット コレクションのブランド基準を満たす施設に変更する必要もある。

 中之島は大阪市内で、今後の再開発が一層活発になる地域だ。中でも、22年に開館した「大阪中之島美術館」の西側、まさにリーガロイヤルホテル(大阪)が立つエリアは、新しい大阪を象徴する場所の1つになりそうだ。31年に開業予定の「なにわ筋線」は、23年3月に開業する「大阪駅(うめきたエリア)」を起点とし、次の駅は新設される「中之島駅(仮称)」になる。

 25年の万博開催が呼び水となり、市内にはIHG以外にも外資系の高級ホテルブランドが同年までに複数立ち上がる見通しだ。長年、高級ホテルが少なかった大阪で、23年から開発が一気に加速する。海外から万博を訪れる富裕層や各国関係者などの宿泊需要を取り込める最高峰ブランドになるべく、大阪では万博とともにホテルの頂上対決が勃発する。

 中でも、米ヒルトン系の「ウォルドーフ・アストリア大阪」と、シンガポールのカペラホテルグループの「パティーナ大阪」は、注目の的だ。他にも、米マリオット・インターナショナル傘下の「オートグラフ コレクションホテル」や、タイのセンタラホテルズ&リゾーツの「センタラ グランドホテル大阪」など、日本初進出を含む高級ホテルが大阪に集結する。

「うめきた2期」の南街区賃貸棟・西棟に入居するヒルトン系の最上級ホテル「ウォルドーフ・アストリア大阪」の完成イメージ(出所:うめきた2期開発事業者JV9社)
「うめきた2期」の南街区賃貸棟・西棟に入居するヒルトン系の最上級ホテル「ウォルドーフ・アストリア大阪」の完成イメージ(出所:うめきた2期開発事業者JV9社)
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ウォルドーフ・アストリア大阪のラウンジ&バーのイメージ(出所:うめきた2期開発事業者JV9社)
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カペラホテルグループの最上級ホテル「パティーナ大阪」高層部の完成イメージ(出所:NTT都市開発)
カペラホテルグループの最上級ホテル「パティーナ大阪」高層部の完成イメージ(出所:NTT都市開発)
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パティーナ大阪の外観イメージ。目の前が大阪城公園(出所:NTT都市開発)
パティーナ大阪の外観イメージ。目の前が大阪城公園(出所:NTT都市開発)
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パティーナ大阪の客室イメージ。大阪城を臨む部屋(出所:NTT都市開発)
パティーナ大阪の客室イメージ。大阪城を臨む部屋(出所:NTT都市開発)
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 ヴィニェット コレクションを含めた前述の5件のホテルに比べると、日本での知名度が圧倒的に高いフォーシーズンズホテルズ&リゾーツも24年に堂島で開業予定である。フォーシーズンズはタワーマンションと合体し、タワー型の同じ建物「ONE DOJIMA PROJECT」に入居することでも話題になっている。

 日経クロステックでは、万博を機に大阪と同じく外資系ホテルの進出が激化している京都について既にまとめている。同じ関西圏で距離も近い大阪と京都で、これから登場する外資系ホテルはタイプが全く異なるのは興味深い。大阪の超高級ホテルは「大阪の顔」となるため、客室数が多く、宴会場や会議場などのMICE機能も備える大規模な都市型ホテルが主体になる。