日本政策投資銀行(DBJ)は2022年1月24日、七十七キャピタル(仙台市)や長谷工コーポレーション、竹中工務店、みずほ不動産投資顧問(東京・中央)と共同で、仙台市で混構造の賃貸オフィスビル開発を目的とした不動産私募ファンドを組成したと発表した。ビルは木造ハイブリッド構造で、地上10階建て。ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の1つのモデルを示す狙いだ。
各階に木質バルコニーを備えたポストコロナ型の賃貸オフィス計画とし、環境と衛生に配慮した新しいオフィスの在り方を提案する。また、東北の地域産材を使った地産地消型のサプライチェーンも構築する。
建築主は、ウッドライズキャピタル(東京・港)。ウッドライズキャピタルはDBJ、七十七キャピタル、長谷工コーポレーションによる合同会社だ。建物の設計・施工は、竹中工務店が手掛ける。みずほ不動産投資顧問はアセットマネジメントを担当する。
DBJは今回の事業が、木材供給体制の高度化や地域経済の活性化、林業のサプライチェーン構築などに寄与すると評価した。そこで「特定投資業務」の一類型として設置した「グリーン投資促進ファンド」で支援することを決めた。これにより、コストなどが原因で普及が進まなかった中高層ビルや商用不動産への木材活用を後押しする。
特定投資業務とは、民間による成長資金供給の促進や地域経済の活性化、企業の競争力強化のため、国からの一部出資(産投出資)を活用して成長資金を時限的・集中的に供給する業務を指す。その一類型であるグリーン投資促進ファンドは、DBJが21年2月にグリーン社会の実現に貢献する事業を重点的に支援することを目的に設置したファンドだ。21年から既に出資が始まっている。
敷地面積は1249.96m2、延べ面積は約1万200m2、オフィス基準階面積は約700m2。構造は木造、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造の混構造とする。完成は23年の予定だ。
計画地は仙台市青葉区国分町1丁目にあり、仙台市地下鉄南北線の広瀬通駅から徒歩5分の場所に位置する。高さ10m級のいちょう並木が続く広瀬通りに面したオフィスビルになる。内外装に木質材料を多く採り入れることで、杜(もり)の都と呼ばれる仙台の並木道と調和を図る。
高性能なフィルターを使った空調対策を施す他、エレベーターや貸室の出入り口にはタッチレス(非接触)機能を導入する。ポストコロナの機能性と快適性を両立させる。