スポーツ機能を核とし、民間主導の開発事業で地域創生モデルをつくる──。
通販大手ジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市)のグループ会社でスポーツ・地域創生事業を担うリージョナルクリエーション長崎(長崎市)は、「長崎スタジアムシティプロジェクト」の計画内容を発表。2020年12月18日にスタジアムなど主要部分、21年1月26日にアリーナ部分の概要を示した。マスターアーキテクトを務める環境デザイン研究所(東京・港)の仙田満会長は、日経クロステックの独自取材に対し、国内外に例のないコンコース開放型施設を目指していることを明らかにした。
長崎スタジアムシティは、ジャパネットホールディングスが事業主となって進めるプロジェクトで、総事業費は約700億円を見込む。同社のグループ企業が関連業務を担う体制を順次構築。19年6月設立のリージョナルクリエーション長崎は企画・運営を担当する。
ジャパネットホールディングスは18年、Jリーグ(J2)のサッカークラブ「V・ファーレン長崎」を完全子会社化するとともに、長崎市幸町の三菱重工業長崎造船所幸町工場跡地を取得。その活用事業である本プロジェクトに着手した。今回の発表は、20年7月に開始した基本設計の完了を機とするものだ。
今後、21年4月に実施設計者および施工予定者を決定する。21年4月下旬から22年3月下旬を実施設計期間とし、22年着工、24年竣工を目指す。
基本設計には、ボールパークの先駆である広島市民球場(Mazda Zoom-Zoom スタジアム広島、09年完成)の設計を担った環境デザイン研究所と、市立吹田サッカースタジアム(パナソニックスタジアム吹田、15年完成)でコンストラクションマネジメントを担った安井建築設計事務所(大阪市中央区)のJVが携わった。
基本設計のJV以外では、ジョーンズ ラング ラサール(東京・千代田)とJLL モールマネジメント(東京・台東)がプロジェクトマネジメントを、三菱地所設計(東京・千代田)がコンストラクションマネジメントを担当。なお、前段階の基本計画には環境デザイン研究所と竹中工務店が携わっている。
立地は、JR長崎駅の北側に徒歩約10分の場所。県道を挟んで浦上川沿いに位置する。約6万8700m2の敷地に、約2万席のサッカースタジアムの他、約5000席の多目的アリーナ、約270室のホテル、総貸床面積約2万m2のオフィス、同約2万m2の商業施設などを建設する。
ジャパネットホールディングスが20年12月21日に告知した「実施設計者および施工予定者公募」には、4つの工区に分けた各施設の規模が記されている。
延べ面積の総計は約19万4900m2。1工区のスタジアム棟・ホテル棟・南商業棟は地上16階、延べ面積約10万6800m2。2工区のアリーナ・サブアリーナ棟・エネルギーセンター棟は地上4階、同約2万6300m2。3工区のオフィス棟は地上13階、同約4万1800m2。4工区の駐車場棟は地上6階、約2万m2という内訳になる。