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 福岡県筑紫野市の高尾川の真下に、増水時にバイパスとして機能する地下河川を構築する工事が2021年3月に完了する。線形は延長10mほど掘進するたびに曲線施工が待ち構えるほどの“つづら折り”で、最大の曲率半径は16mと非常に急だ。

急曲線が繰り返すシールドトンネル。2020年10月27日に撮影(写真:大村 拓也)
急曲線が繰り返すシールドトンネル。2020年10月27日に撮影(写真:大村 拓也)
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地上部の高尾川。上の写真と同位置。2020年10月27日に撮影(写真:大村 拓也)
地上部の高尾川。上の写真と同位置。2020年10月27日に撮影(写真:大村 拓也)
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 「シールドトンネルの外径6mの3倍に満たない曲率半径を持つ急曲線を施工した例はわずかだ。通常の施工ならば、曲率半径20~25mまでだろう」。掘進工事を担当した安藤ハザマ・大豊建設・環境施設JVの荒東伸一所長(現在は安藤ハザマ・環境施設JVの所長として、2次覆工工事を担当)は、こう振り返る。

 シールド機の中折れ装置は、水平方向に最大で13.5度曲げられるようにした。その他、カッターヘッドに装着したコピーカッターで、トンネル外周方向へ最大300mmの余掘り量を確保。「大部分が曲線なので、コピーカッターを常に稼働させるような状態で掘進する。硬質地盤で酷使することを想定し、従来の2倍に当たる4本のコピーカッターを装着した」(荒東所長)

シールド機全体構造図(資料:安藤ハザマJV)
シールド機全体構造図(資料:安藤ハザマJV)
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 急曲線施工での懸念事項は、軟弱地盤などでシールド機が十分な地盤反力を得られず、曲がり切れないまま線形を逸脱してしまうことだ。加えて、急曲線で余掘り量が大きくなるほど、セグメントと地山との間に充填する裏込め材の量も増える。

 そこで安藤ハザマJVが採用したのが、セグメントの地山側に取り付けた袋に裏込め材を注入しておく「Eバック工法」だ。総合評価落札方式の技術提案で盛り込んだ。

 同工法は、セグメントの円周方向に連続的に取り付けた袋を裏込め材で膨らませ、3リングに1カ所程度の間隔で地山とセグメントの間を仕切る。余掘り部に直接充填する裏込め材がシールド機側へ回り込むことを防ぐとともに、充填性が向上。セグメントを介してシールド機が地盤反力を効率的に得やすくなる。