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 JR東海の子会社である名古屋ステーション開発(名古屋市)は2022年3月1日、JR名古屋駅に近い東海道新幹線の高架下に、木造2階建てのオフィスビル「ささしま高架下オフィス」が同日に完成したと発表した。オフィスの供用開始は同年3月7日で、地元のスタートアップ企業であるスタメン(名古屋市)が1棟借りし、ここに本社を移転する。約70人の社員が働く予定だ。

東海道新幹線の高架下の空間に完成した、木造2階建ての建物「ささしま高架下オフィス」(写真:日経クロステック)
東海道新幹線の高架下の空間に完成した、木造2階建ての建物「ささしま高架下オフィス」(写真:日経クロステック)
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 完成に合わせ、報道関係者向けの内覧会が開かれた。敷地は、名古屋駅から南に徒歩10分ほどの距離にある高架下だ。再開発が進む「ささしまライブ24地区」に位置する。

 頭上を東海道新幹線が走り、真横を在来線が並走する。建物は高架下という立地に合わせた細長い平面プランとしている。

新幹線が建物の真上を走っている(写真:日経クロステック)
新幹線が建物の真上を走っている(写真:日経クロステック)
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西隣にある「ストリングスホテル 名古屋」側から見た建物。高架下にあるのでかなり細長く、長さは約46mある(写真:日経クロステック)
西隣にある「ストリングスホテル 名古屋」側から見た建物。高架下にあるのでかなり細長く、長さは約46mある(写真:日経クロステック)
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 この建物は、2階部分が高架下から外に突き出ている外観が特徴的だ。2階を突き出すことで地上部分に通路を確保しつつ、2階のオフィス空間を広げている。

2階部分が高架下から突き出ている。左に見えるのは、市が整備して22年春に供用開始する予定の歩道。名古屋駅からアクセスしやすくなる(写真:日経クロステック)
2階部分が高架下から突き出ている。左に見えるのは、市が整備して22年春に供用開始する予定の歩道。名古屋駅からアクセスしやすくなる(写真:日経クロステック)
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 敷地面積は約1392m2、延べ面積は約985m2。高さは約10mで、通常の2階建てオフィスビルよりも高さにゆとりがある。設計はMARU。architecture(マル・アーキテクチャ、東京・台東)、施工はシーエヌ建設(名古屋市)が手掛けた。

設計はMARU。architectureが手掛けた。左は共同主宰者の森田祥子氏で、右が高野洋平氏(写真:日経クロステック)
設計はMARU。architectureが手掛けた。左は共同主宰者の森田祥子氏で、右が高野洋平氏(写真:日経クロステック)
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 日経クロステックは木躯体(くたい)がよく見える施工途中に一度、ささしま高架下オフィスを紹介済みだ。今回は完成したオフィス空間を見ていこう。

 最大の見どころは、高架のコンクリート柱と木の柱梁(はり)が混在する内部空間だろう。太いグレーのコンクリート柱が何本も、オフィス内を貫通している。

高架のコンクリート柱梁とオフィスビルの木柱梁が混在する空間。入居するスタメンの希望で、コンクリートの柱梁は塗装せずにそのまま、木躯体の壁や柱梁は現しにしている(写真:日経クロステック)
高架のコンクリート柱梁とオフィスビルの木柱梁が混在する空間。入居するスタメンの希望で、コンクリートの柱梁は塗装せずにそのまま、木躯体の壁や柱梁は現しにしている(写真:日経クロステック)
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構造のアクソメ図(資料:MARU。architecture)
構造のアクソメ図(資料:MARU。architecture)
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 なかでも、この建物を成立させるのに不可欠だった、ロングスパンの木梁に注目したい。2階は炭素繊維を複合する新素材の木梁が高架下を飛び出し、外側まで延びている。最大スパンは約6mある。

 この木梁は高機能繊維を使った複合材料集成材で、帝人が20年末から展開している「LIVELY WOOD(ライブリーウッド)」である。ささしま高架下オフィスでは76本のライブリーウッド梁を使用している。ライブリーウッドの初採用案件だ。

ロングスパンの木梁が延びる2階の天井。木梁は帝人が開発した「ライブリーウッド」で、炭素繊維の複合材。ライブリーウッドは曲げ剛性が通常の木材の約2倍で、この建物はさらに基準値の2倍から最大4倍の曲げ剛性が見込まれる(写真:日経クロステック)
ロングスパンの木梁が延びる2階の天井。木梁は帝人が開発した「ライブリーウッド」で、炭素繊維の複合材。ライブリーウッドは曲げ剛性が通常の木材の約2倍で、この建物はさらに基準値の2倍から最大4倍の曲げ剛性が見込まれる(写真:日経クロステック)
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 高架下から外に約2.6mはね出した2階部分は、スキップフロアの大空間になっている。2階の面積は1階よりも40m2ほど広い。

仕切りのないオフィス空間。スキップフロアの段差で、空間を緩やかに分けている。居場所によって、目線の高さが変わる(写真:日経クロステック)
仕切りのないオフィス空間。スキップフロアの段差で、空間を緩やかに分けている。居場所によって、目線の高さが変わる(写真:日経クロステック)
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名古屋駅方向のオフィス2階北端。奥のガラスの向こうに既存の高架下空間が見える(写真:日経クロステック)
名古屋駅方向のオフィス2階北端。奥のガラスの向こうに既存の高架下空間が見える(写真:日経クロステック)
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