「ここでファイターズの選手たちが新時代をつくってくれる予感がものすごくする。世界一の球場です」。北海道日本ハムファイターズの新庄剛志監督は2022年11月に開催されたファン感謝イベントで、新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」への期待をこう口にした。フィールドから天井まで最高高さが約70mある巨大な空間に土と芝の匂いが広がる、国内初の開閉式屋根付きの天然芝球場だ。
23年3月30日に迫るプロ野球の開幕戦。これに先立って3月6日、新球場を運営するファイターズスポーツ&エンターテイメント(北海道北広島市)は、新球場のメディア向け内覧会を実施した。総工費約600億円をかけたビッグプロジェクト「北海道ボールパークFビレッジ」のメインとなる施設がベールを脱いだ。
新球場の設計は大林組と米HKS、施工は大林組・岩田地崎建設JVが担当した。外観の切り妻屋根とレンガ調タイルの外壁が雪国らしさを感じさせる。地下2階・地上6階建てで収容人数は約3万5000人だ。高低差約35mの敷地を約16m掘って地下1階をフィールドとし、建物高さを抑えた。外から1塁側には2階から、3塁側には1階からアクセスする。座席は1階のフィールドレベル、2階のメインレベル、3・4階のスターレベルに分かれる。
ファイターズスポーツ&エンターテイメントがFビレッジで掲げるキーワードは「共同創造空間」だ。ファンや地域住民、官民学の事業者が一体になって地域の活性化につなげる。「我々がつくりたいのは野球を観戦するためだけの施設ではない。野球はエンタメの1つとして位置付け、多くの人を呼び込むフックにする」(同社事業統轄本部)。新球場には、野球以外のことを楽しみ“ながら観戦”できる仕掛けが盛りだくさんだ。
仕掛けの1つは国内では珍しい左右非対称の平面形状に現れる。豊富な写真と共に見ていこう。