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 2020年ドバイ国際博覧会(ドバイ万博)日本館のデザインアーキテクトを務めた建築家の永山祐子氏が、今度は大阪・関西万博で2つのパビリオンを掛け持ちでデザインする──。1つはパナソニックグループが出展する民間パビリオン、もう1つはウーマンズ パビリオンだ。

 高級宝飾大手カルティエなどを日本で展開するリシュモン ジャパン(東京・千代田)は国際女性デーである2023年3月8日、2025年日本国際博覧会協会と内閣府、経済産業省との共催でプレスカンファレンスを開催。リシュモン ジャパンが出展する「女性活躍推進館(仮称)」の詳細を発表した。

 パビリオンの正式名称は「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」に決定した。パビリオンのコンテンツクリエーションおよびキュレーションには、世界的に著名なアーティストであるエズ・デヴリン氏を「グローバル アーティスティック リード」として起用。パビリオンの建築設計を担当する「リード アーキテクト」は、永山祐子建築設計(東京・新宿)を主宰する永山氏が務めることになった。

「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」の外観イメージ。見覚えがあるデザインだ(出所:Cartier)
「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」の外観イメージ。見覚えがあるデザインだ(出所:Cartier)
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 ドバイ万博で初めて誕生したウーマンズ パビリオンの第2弾が正式に決まり、大阪・関西万博に引き続き登場。開催国である日本館の目の前にある細長い敷地にウーマンズ パビリオンが立つことからも、「万博の大きな目玉の1つになる」(協会事務総長の石毛博行氏)。万博関係者の期待は大きい。

ウーマンズ パビリオンの建築設計を主導する「リード アーキテクト」の就任が決まった永山祐子氏(左端)(写真:Cartier)
ウーマンズ パビリオンの建築設計を主導する「リード アーキテクト」の就任が決まった永山祐子氏(左端)(写真:Cartier)
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緑を取り入れたウーマンズ パビリオンのエントランスガーデン。緑をファサードで覆うイメージ(出所:永山祐子建築設計)
緑を取り入れたウーマンズ パビリオンのエントランスガーデン。緑をファサードで覆うイメージ(出所:永山祐子建築設計)
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 永山氏は既に、パナソニックグループが出展するパビリオン「ノモの国」の設計を担当することが決まっている。偶然だが、パナソニックグループのパビリオンは、ウーマンズ パビリオンに近接している。

 ドバイ万博からの連投になる永山氏は、大阪・関西万博では2件のパビリオンを掛け持ちするという大役を担うことになった。その原動力になったのは自身も女性であり、「ドバイ万博から始まった女性の社会貢献に光を当てたパビリオンの継承に関わりたいと思った」(永山氏)ことだ。

 そしてもう1つ、SDGs(持続可能な開発目標)が重要なテーマになっている大阪・関西万博に引き継がれることになったウーマンズ パビリオンは、建築的にも非常に画期的な要素が含まれることが決まった。永山氏が関わった「ドバイ万博日本館のファサードをリユースすることが可能になった。前回の万博から次の万博にパビリオンの一部が転用されるのは初めてのケースではないか」(永山氏)。日本と中東の伝統文様を組み合わせたようなデザインの組子ファサードが、日本にやって来るのである。

ドバイ万博日本館で使用したファサードの組子ダイアグラム(出所:永山祐子建築設計)
ドバイ万博日本館で使用したファサードの組子ダイアグラム(出所:永山祐子建築設計)
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ウーマンズ パビリオンで再利用する際の組子ダイアグラム例(出所:永山祐子建築設計)
ウーマンズ パビリオンで再利用する際の組子ダイアグラム例(出所:永山祐子建築設計)
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