世界遺産の宮島へ渡る本州側の玄関口として、新たなフェリーターミナルが完成した。広島県廿日市市の宮島口地区で、県が「宮島口旅客ターミナル」を整備。設計を担当したのは、乾久美子建築設計事務所(東京・新宿)だ。総工費は約24億円。2020年2月29日に開業した。
県が「厳島港港湾整備事業」を開始したのは13年9月。港湾の一部を埋め立て、18年10月に、老朽化したフェリーターミナルの建て替えに着手した。ターミナルの北西側では、観光商業施設「etto(エット)」の内装工事も終わり、20年4月にオープンする予定だ。今後は、広島電鉄・宮島口駅の移設や道路整備に取り組んでいく。
ターミナルの構造は鉄骨造。地上2階建てで、延べ面積は約2174m2だ。これまでフェリー運営者2社で別々だった乗船場を1カ所に集約し、利便性を高めた。廿日市市の観光発信拠点としての機能も備える。
建物は2枚の大屋根を合わせ、その間にトップライトを配置した。海沿いの遊歩道から、明るく開放的なターミナル、広場、そして街のにぎわいゾーンへと人の流れをつくり、地域全体の回遊性を高める。