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 熊本県南部を中心に甚大な被害をもたらした2020年7月豪雨(令和2年7月豪雨)。球磨川の増水で分断された道路を一刻も早くつなげるため、国は権限代行で災害復旧事業を実施している。熊本県八代市にある鎌瀬橋の仮橋の架設現場では21年3月、非出水期中の完成を目指してわずか4カ月で工事が佳境を迎えていた。

流失した鎌瀬橋で仮橋の架設が進む。2021年3月10日撮影(写真:日経クロステック)
流失した鎌瀬橋で仮橋の架設が進む。2021年3月10日撮影(写真:日経クロステック)
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 流失前の鎌瀬橋は橋長113.2m。構造形式は鋼単純アーチと鋼2径間鈑桁だ。仮橋には鈑桁タイプの組み立て橋梁(プレガーダー)を採用する。下部工には流されなかった橋脚をそのまま利用できた。ただ、1径間の長さが73mのアーチ部分については、そのまま鈑桁で飛ばすことはできない。そのため、12本のH鋼から成る仮の橋脚を2つ建設する必要があった。

上は元の鎌瀬橋、下は仮橋の側面図(資料:国土交通省九州地方整備局)
上は元の鎌瀬橋、下は仮橋の側面図(資料:国土交通省九州地方整備局)
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 「日本三大急流」の1つである球磨川の流れは非出水期でも速く、仮の橋脚の建設位置は水衝部に当たるために深い。H鋼の打ち込みに苦労した。

 「水深が大きく、ボーリング用の簡易足場を設置できなかった。そのため、水位を測りながら支持杭を打たざるを得なかった」。鎌瀬橋の仮橋の架設工事で、監理技術者と現場代理人を務める髙野組(熊本県八代市)土木部の平岡敏博副部長は、こう話す。

 河床部の岩盤の地形にもてこずった。「川の中が見えず削孔しようとすると、切り立った岩にはじかれて大変だった」と、仮設工事を担う太洋ヒロセ(福岡市)の施工部施工1チームの光井照正係長は振り返る。

 削孔に必要な機械が振れるのを防ぐため、通常はガイド定規材を1つ用意するだけだが、この現場では仮設のガイドを製作。二重の振れ止め装置を採用することで、正確な位置への削孔を可能にした。

河床を削孔している様子。球磨川の左岸側(写真:太洋ヒロセ)
河床を削孔している様子。球磨川の左岸側(写真:太洋ヒロセ)
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現場で製作した仮設のガイド(写真:太洋ヒロセ)
現場で製作した仮設のガイド(写真:太洋ヒロセ)
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 さらに、水流で運ばれてくる土が、H鋼の施工速度を遅らせた。掘っても掘っても周りの土が入り込んでしまったのだ。当初はダウンザホールハンマーで河床を削孔して、H鋼の支持杭をバイブロハンマーで打ち込む計画だったが、ケーシングを併用して土の崩れを防ぎながら2次掘削でさらに掘り下げてから、何とか杭を施工した。