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 「まちなかスタジアム」と一体化を図る、広島市中心部の公園整備が本格化する。NTT都市開発を代表法人とするグループ「ACTIVE COMMUNITY PARK(アクティブ・コミュニティー・パーク)」は2022年4月7日、広島市が実施した「中央公園広場エリア等整備・ 管理運営事業」に関する事業者公募において、公募設置等計画の認定を受けたと発表した。

広島城側から望んだ東側広場エリアのイメージ。芝生広場を囲むようにテーマ性のあるゾーンを設け、円形の歩行空間で各棟をつないでいる。さらに各建物に隣接する屋外に、人を呼び込む仕掛けとして「YARD(ヤード)」を設ける。活動の視認性が高まり、新たなアクティビティーを誘発し得る計画である点が、事業者公募の審査時に評価されている(資料:ACTIVE COMMUNITY PARK)
広島城側から望んだ東側広場エリアのイメージ。芝生広場を囲むようにテーマ性のあるゾーンを設け、円形の歩行空間で各棟をつないでいる。さらに各建物に隣接する屋外に、人を呼び込む仕掛けとして「YARD(ヤード)」を設ける。活動の視認性が高まり、新たなアクティビティーを誘発し得る計画である点が、事業者公募の審査時に評価されている(資料:ACTIVE COMMUNITY PARK)
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 広島市は、市の負担の軽減などを目的にPark-PFI(公募設置管理制度)を導入し、21年4月に事業者を公募。同年8月、応募2グループのうち、公募設置等予定者としてNTT都市開発などのグループ(現ACTIVE COMMUNITY PARK)を選定した。同グループが提出した計画を22年1月に認定し、事業主5社に認定計画提出者の地位を承継している。認定の有効期間は、23年8月から20年間。

 ACTIVE COMMUNITY PARKは、NTT都市開発の他、エディオン、広島電鉄、RCC文化センター、中国新聞社(以上、事業主)が中心となるグループ。実施法人として参画するNTTアーバンバリューサポート、NTTファシリティーズ、大成建設、日本工営、UIDと共に今後、事業を推進する。

スタジアム東西の2つの広場エリアを整備

 広島市中央公園(広島市中区)は市の中心部、旧太田川沿いに位置する。市は、北西側の一角を占める中央公園広場を対象に、サッカースタジアムと広場の一体的な整備を進めている。

 今回発表の事業は、その広場部分を事業区域とするものだ。24年開業を予定するスタジアムと一体的に扱い、にぎわいを効果的に生み出すことを目標にしている。広島市内のみならず、県内外からの多様な人々を受け入れる場所とし、「にぎわいと憩いのスタジアムパークとなることを目指す」としている。

 事業区域は、スタジアムの東西に分かれる2つの広場エリア、および旧太田川に面する基町環境護岸から成る。広場と商業施設を整備し、収益機能を持つ公園として管理運営する。

位置図。事業区域は中央公園の北西部に位置する。北側に接する住宅エリア(市営基町アパート)に対する配慮も条件とされている。広島グリーンアリーナなどを挟んで南側には、原爆ドームおよび平和記念公園が隣接する(資料:ACTIVE COMMUNITY PARK)
位置図。事業区域は中央公園の北西部に位置する。北側に接する住宅エリア(市営基町アパート)に対する配慮も条件とされている。広島グリーンアリーナなどを挟んで南側には、原爆ドームおよび平和記念公園が隣接する(資料:ACTIVE COMMUNITY PARK)
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基町環境護岸および西側広場エリアのイメージ。事業者公募時の提案資料によると、飲食・物販店などの外側の空間(特定公園施設)にICT設備を整備し、来場者の人流データを取得。施策の効果測定の精緻化や、管理運営面の課題抽出を計画している。ICTによる改善の成功体験をスタジアムや周辺の商店街にも横展開し、エリア価値の向上につなげる(資料:ACTIVE COMMUNITY PARK)
基町環境護岸および西側広場エリアのイメージ。事業者公募時の提案資料によると、飲食・物販店などの外側の空間(特定公園施設)にICT設備を整備し、来場者の人流データを取得。施策の効果測定の精緻化や、管理運営面の課題抽出を計画している。ICTによる改善の成功体験をスタジアムや周辺の商店街にも横展開し、エリア価値の向上につなげる(資料:ACTIVE COMMUNITY PARK)
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広島市中央公園の北側部分にある「東側広場エリア」。21年6月撮影(写真:生田 将人)
広島市中央公園の北側部分にある「東側広場エリア」。21年6月撮影(写真:生田 将人)
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 広場エリア側の公募設置等予定者を選定する審査のうち、内容評価、総合評価点の算定、公募設置等計画の評価(いずれも第2次審査)は、スタジアム側の審査も担った「広島市サッカースタジアム整備等事業者選定審議会」が担当。会長は古谷誠章・ 早稲田大学創造理工学部建築学科教授が務めている。

 21年10月公表の審査結果報告書によると、NTT都市開発などのグループによる提案の全体コンセプトに関しては、「公園内で生まれるアクティビティーをイメージしやすい機能が配置されている」という点、「都市におけるアウトドアライフを通じて人々の交流を図る場所としている」という点などが評価されている。

 また、施設・整備計画に関しては、「サッカースタジアムと呼応する形での、丸い広場形状に合わせた施設配置や各建物のデザインの統一感」「フットサルコートから基町住宅側への騒音防止を考慮したクラブハウス配置などの近隣への配慮」が評価ポイントとして挙げられている。

 整備される用途は、園路・広場、修景施設、屋外トイレ、休養施設、遊戯施設、その他の施設。分棟となる建物部分の規模は地上1階および2階、延べ面積は約4300m2。設計は、事業者グループのうち、NTTファシリティーズ、UID、大成建設、日本工営が担う。22年4月より基本設計に着手。23年8月の着工、24年8月の供用開始を予定する。

 なお、市が22年2月に公表した資料(「中央公園広場におけるサッカースタジアムと広場エリアの整備について」)によると、広場エリア自体の整備面積は3万5700m2、芝生広場の面積は1万2000m2。スタジアム本体を含む全体事業費は271億円(国庫補助や寄付により、自治体負担分は約100億円)。このうち市が負担する特定公園施設の事業費は3億円とされている。