2025年日本国際博覧会協会は2022年4月18日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の中核になるテーマ事業「いのちの輝きプロジェクト」の基本計画を発表した。いのちの輝きプロジェクトは万博会場の中央に位置する、8つのテーマ事業パビリオンを起点に展開する。
今回、日本国際博覧会協会は生物学者の福岡伸一氏など8人のテーマ事業プロデューサーが主導するパビリオンを「シグネチャーパビリオン」と命名した。各事業プロデューサーはテーマに沿って建築設計者を選定し、パビリオンを建てる。パビリオンの建築デザインには、隈研吾建築都市設計事務所(東京・港)やSANAA(東京・江東)、小堀哲夫建築設計事務所(東京・文京)、noiz(東京・目黒)などが参加することが発表された。
パビリオンの設計やデザインを手掛ける建築設計者やデザイナーの顔ぶれを見ると、多彩なメンバーが並ぶ。また、そのコンセプトには「循環」「自然」「地球」「細胞」、そしてリアルとバーチャルの「融合」といった共通点が浮かび上がる。
まず「いのちをつむぐ」(EARTH MART)を担当するプロデューサーは、放送作家で脚本家の小山薫堂氏。建築デザインに、隈研吾建築都市設計事務所を迎える。小山氏が代表を務めるオレンジ・アンド・パートナーズ(東京・港)がプランニングとディレクションを手掛ける。建築は大きなものから小さなものまで転用可能な素材を使い、丸太が支える“循環型建築”としている。食を育み受け継ぐ集落のような形のパビリオンで、屋根は「茅(かや)ぶきを想定している」(小山氏)。
「いのちを響き合わせる」(Co-being)は慶応義塾大学教授の宮田裕章氏が、建築デザインにSANAAを迎えて建設する。キュレーションは金沢21世紀美術館館長の長谷川祐子氏、テクニカルディレクションと体験デザインはバスキュール(東京・港)の朴正義氏に加え、大八木翼氏が参加する。パビリオンのデザインでは、森に溶け込むような不定形の大屋根を架ける。そして屋根の下では、霧や雨、光といった自然現象のようなインスタレーションを展開する。
「いのちを高める」(いのちの遊び場 クラゲ館)を手掛ける音楽家で数学研究者の中島さち子氏は、建築デザインで小堀哲夫建築設計事務所と組む。パビリオンは内部にいる人そのものを生きた展示・体験とするように、クラゲのような半透明の外観とする。数学体験デザインには、東京理科大学栄誉教授の秋山仁氏など異分野のメンバーを起用する。
「いのちを磨く」(null2)を担当するメディアアーティストの落合陽一氏は、noiz、アスラテック(東京・港)、WOW(東京・渋谷)、SAFEHOUSE(東京・千代田)、乃村工芸社、TASKO(川崎市)の6社とタッグを組む。パビリオンは鏡面状のキューブを積み重ねたような建築を目指す。鏡面に来場者の姿や風景を映し、ゆがませ、未知の景色を生み出す。