チームラボのグループ会社で建築集団のチームラボアーキテクツ(東京・千代田)が、千葉県流山市に完成した保育園を設計した。発注者で、保育園を運営するキッズラボ(東京・豊島)が2021年4月に開園した。定員は80人で、同年4月末時点で約半数が埋まった。チームラボとキッズラボは社名が似ているが、全くの別会社である。
オープンした保育園は「キッズラボ南流山園」。JR南流山駅から徒歩20分ほどの新興住宅地にある。周囲は畑が多く、これから宅地になっていくような場所に立つ。
チームラボアーキテクツはこれまで主に、チームラボが展開しているアート施設や展示会場の設計を手掛けてきた。それらの施設に興味を持ったキッズラボ代表取締役の西原優博氏がチームラボアーキテクツに、新設する保育園の設計を依頼した。オーダーは「子どもたちがワクワクする場をつくってほしい」というものだった。
キッズラボは東京と神奈川で、保育園を15カ所ほど運営している。新たに千葉にも進出し、21年4月には合計5カ所の保育園を一斉に開園。そのうちの1つがキッズラボ南流山園である。
チームラボのアート施設やコンテンツは、子どもに人気があるものが多い。施設設計を担当してきたメンバーが保育園をつくると、どうなるか。写真と図面を中心に見ていく。
チームラボアーキテクツの代表である河田将吾氏が21年4月下旬に、開園したばかりの保育園を案内してくれた。
建物は地上2階建てで、構造は木造。高さは約9m。近隣に立つ住宅と外観があまりかけ離れないように、園舎は家のような形にした。屋根は「変形寄棟」の集合体としてデザインし、窓も近隣の住宅と同じようなサイズにしている。
敷地面積は約634m2、建築面積は約348m2、延べ面積は約497m2。正面の出入り口に面して園庭があり、奥にU字形の平面に部屋を配置した建物が立っている。
園内をぐるっと回ってみて驚いたのは、チームラボが得意とするデジタルコンテンツが見当たらないことだ。園庭には遊具もない。
目に付くのは、建物1階の中央部に設けた内庭の2つの砂場と、その頭上にある2階の屋外にネットを張ってつくった遊び場くらいだ。ちょっとしたアスレチックのようになっている。
あとは保育園の機能として、特に目立ったものはないように思える。特徴は何なのか。
河田氏は保育園を設計するに当たり、キッズラボに3つのキーワードを提案した。「多様性」「身体性」「共創」である。