三菱地所を代表企業とするうめきた2期開発事業者JV9社(以下、事業者JV)は2022年5月16日、JR大阪駅前の「うめきた2期地区開発事業」で、街全体の魅力を高める都市公園「うめきた公園(仮称)」の工事を公民連携で本格着手すると発表した。事業者JVは大阪市や都市再生機構(UR都市機構)と連携し、公園整備に取り組む。
うめきた公園の面積は、約4万5000m2。大規模なターミナル駅直結の都市公園としては、世界最大級になる。うめきた2期地区開発事業は、オフィスや商業施設、ホテル、分譲住宅などで構成する民間宅地とうめきた公園を一体で整備するものだ。
27年春ごろの全体開園を目指しつつ、24年夏ごろには一部を先行開園して、25年開催の大阪・関西万博に間に合わせる。大阪駅前から世界に向けて、新しい都市型パブリックスペースの在り方を発信していく。
公園の整備主体は、大阪市、UR都市機構。整備手法は防災公園街区整備事業(一部、土地区画整理事業)とする。基本設計は日建設計・三菱地所設計、実施設計は日建設計が手掛ける。
デザイン提案などは事業者JVが行う。デザインリードはランドスケープアーキテクトとして実績が豊富な米GGNで、日本で初めてのプロジェクトになる。デザイナーは日建設計、照明デザイナーは内原智史デザイン事務所(東京・港)、サインデザイナーは井原理安デザイン事務所(東京・豊島)、サインプロジェクトマネジメンはメック・デザイン・インターナショナル(東京・中央)がそれぞれ手掛ける。
施工は、大林組・竹中工務店・竹中土木特定建設工事共同企業体が担当する。
うめきた公園は、都市的な南公園と、緑が多く自然豊かな北公園で構成する。公園内に事業者JVは、3つの機能を持つ建築物(設置許可施設)を建設する。にぎわいを創出するイベントスペースや来街者へのインフォメーション施設、イノベーションの創出施設、そして飲食施設だ。総延べ面積は約1万1000m2になる。
公園の設置許可施設全体の設計は、日建設計が手掛ける。ただし、一部施設の設計には著名なアトリエ系の建築設計事務所を起用する。南公園に設ける大屋根施設は、SANAAが設計する。また、イノベーション施設の1つである「ネクストイノベーションミュージアム」は、安藤忠雄建築研究所(大阪市)が設計監修する。施工は全て、竹中工務店・大林組が手掛ける。
SANAAによれば、大屋根は南北に約120mの長さになるという。公園のランドスケープと呼応するように、緩やかな起伏のある屋根を架ける。その下に半屋外のイベントスペースや飲食施設を配置する。
一方、北公園にできるネクストイノベーションミュージアムは、「機能の大部分を地下に埋める。地上部分は壁面緑化した緑のボックスとし、公園の景観に溶け込ませる」(安藤忠雄氏)という。天井高が約15mの大展示室を擁するミュージアムになる。
安藤氏が関わるネクストイノベーションミュージアムの他にも、教育や交流、スポーツをテーマにしたキューブ状の施設を園内に設ける。
なお、事業者JVは、三菱地所、大阪ガス都市開発、オリックス不動産、関電不動産開発、積水ハウス、竹中工務店、阪急電鉄、三菱地所レジデンス、うめきた開発特定目的会社の9社で構成する。