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 日本屈指のターミナル駅である横浜駅周辺の人の流れが大きく変わりそうだ。駅直結の複合ビル「JR横浜タワー」が2020年6月24日に全面開業を迎えた。同施設では、20年4月以降に高層部のオフィスが稼働し始め、入居する商業施設「CIAL(シァル)横浜」が6月18日、商業施設「NEWoMan(ニュウマン)横浜」やシネマコンプレックス「T・ジョイ横浜」などが6月24日にオープン。にぎわいを呼び込む。建物周辺では駅と街を結ぶ新たな歩行者通路も完成した。

写真中央に建つのが、2020年6月24日に全面開業した「JR横浜タワー」。東側から見た外観。敷地のすぐ脇に線路が走る(写真:浅田 美浩)
写真中央に建つのが、2020年6月24日に全面開業した「JR横浜タワー」。東側から見た外観。敷地のすぐ脇に線路が走る(写真:浅田 美浩)
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JR横浜タワーの12階に設けた屋上広場。低層部の商業施設だけでなく、高層部のオフィスからもアクセスできる(写真:日経アーキテクチュア)
JR横浜タワーの12階に設けた屋上広場。低層部の商業施設だけでなく、高層部のオフィスからもアクセスできる(写真:日経アーキテクチュア)
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 横浜市は、横浜駅を国際交流拠点や市の中核拠点などに位置付け、「エキサイトよこはま22」と呼ぶ駅周辺の整備計画を09年に発表した。JR横浜タワーの建設は、この計画の核となるプロジェクトだ。

 以前は、横浜ステーシヨンビル(1962年完成、後に横浜シァル)などが建っていた場所だ。同ビルは設備や建物が老朽化していたので、2011年に閉館し、建て替え工事が進められていた。

JR横浜タワーの西側外観。商業施設などが多く立地し、広場には多くの人や車が行き交う(写真:浅田 美浩)
JR横浜タワーの西側外観。商業施設などが多く立地し、広場には多くの人や車が行き交う(写真:浅田 美浩)
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 JR横浜タワーの事業者はJR東日本、ルミネ(東京都渋谷区)、横浜ステーシヨンビル(横浜市)、ティ・ジョイ(東京都中央区)だ。設計者はJR東日本と横浜駅西口開発ビル設計共同企業体(JV)。JVはJR東日本建築設計とJR東日本コンサルタンツで構成した。施工者は竹中工務店だ。

 延べ面積は約9万8000m2。高さは、北側の高層部分が約135m、南側の低層部分が約60mだ。都市再生特別地区の都市計画決定によって高さの緩和や容積緩和などを受けている。

 敷地は南北に細長い形状で、駅や線路のすぐ脇に位置する。建物は線路にオーバーハングしており、建築面積約9000m2のうち約3分の1が線路と重なる。線路に面した一部壁面をガラス張りにし、建物内から往来する電車の様子が見えるようにした。

JR横浜タワーの1階から線路側を見た様子。写真の奥にJR東日本の車両が見える(写真:浅田 美浩)
JR横浜タワーの1階から線路側を見た様子。写真の奥にJR東日本の車両が見える(写真:浅田 美浩)
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 JR横浜タワーの完成によって、駅周辺の人の流れは大きく変わりそうだ。買い物や通勤などの目的を持った駅利用者が今後、施設内の店舗やオフィス、シネマコンプレックス、屋上庭園などを目指して建物上層へと足を向けるようになる。

 地上だけでなく地下の歩行者動線も整備が進む。数々の店舗が並ぶ西口の地下街と、駅の中央通路の間に、新たな通路が完成した。

 以前の横浜駅では、歩行者動線の主軸である地下の中央通路から西口の地下街へ向かうために、地上への上り下りが必要だった。それは市民から「馬の背」といわれるほど不便だった。現在は地下通路の開設によって、駅から地下街へと直接アクセスできるようになっている。

横浜駅の中央通路から見た地下動線。写真左のエスカレーターで、JR横浜タワー1階の吹き抜けに上がる。写真右は駅西口の地下街へと続く通路(写真:浅田 美浩)
横浜駅の中央通路から見た地下動線。写真左のエスカレーターで、JR横浜タワー1階の吹き抜けに上がる。写真右は駅西口の地下街へと続く通路(写真:浅田 美浩)
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 JR横浜タワーから北に約300m離れた場所には、複合施設「JR横浜鶴屋町ビル」も6月16日から段階的にオープンする。JR横浜タワーとJR横浜鶴屋町ビルをつなぐ歩行者デッキ「はまレールウォーク」が6月18日に供用を開始した。平常時の歩行者動線としてだけでなく、津波などの災害発生時に高台のある地区へ逃げ込むための動線としても機能する。