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 コロナ禍の影響で延期になった展覧会が、少しずつ再開している。大分市では建築家・坂茂氏の図面や模型などを紹介する展覧会が、会期を2020年7月5日まで延長して開催中だ。現地を訪れたソルト建築設計事務所(福岡市)の西岡梨夏代表が見どころをリポートする。

 大分市に立つ大分県立美術館「OPAM(オーパム)」で、「坂茂建築展 仮設住宅から美術館まで」が開催されている。坂氏が35年にわたって手掛けてきた国内外での設計活動を一度に見られる展覧会だ。

 会場を5つのセクションに分け、図面や模型、体験型のインスタレーションといった多様な手法を用いて展示。紙管を使った仮設住宅など、緊急性が高い災害支援に関連した展示は無料で公開している。

坂茂氏が設計した、大分県立美術館「OPAM」のエントランス。2015年に開館(写真:西岡 梨夏)
坂茂氏が設計した、大分県立美術館「OPAM」のエントランス。2015年に開館(写真:西岡 梨夏)
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 5つのセクションは、(1)紙の構造、(2)木の可能性、(3)手で描く、(4)プロダクトデザイン、(5)災害支援、で構成する。前半は紙や木といった新しい素材や構造への挑戦、中ほどにはそれらの元となるアイデアスケッチの山、後半にはプロダクト、最後に坂氏のもう1つの顔である災害支援家としての活動を紹介する、といった流れだ。

紙管で作り出した列柱空間(写真:西岡 梨夏)
紙管で作り出した列柱空間(写真:西岡 梨夏)
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膨大な数のスケッチが展示されている(写真:西岡 梨夏)
膨大な数のスケッチが展示されている(写真:西岡 梨夏)
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椅子やテーブルなど、紙管を使ったプロダクトも展示している(写真:西岡 梨夏)
椅子やテーブルなど、紙管を使ったプロダクトも展示している(写真:西岡 梨夏)
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 会場に入ってまず驚くのが、模型の多さである。いずれも小さなものではなく、建築の構造やジョイントの細部までつぶさに見られるモックアップが所狭しと並んでいる。同じ紙の構造や木の構造でも、坂氏が常に接合部の改良や新たな納まりなどに挑戦してきたことが分かる。

巨大なモックアップも多い。近くに寄って、ジョイントの細部まで見られる(写真:西岡 梨夏)
巨大なモックアップも多い。近くに寄って、ジョイントの細部まで見られる(写真:西岡 梨夏)
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 展示内容は、紙の建築の原点となったアアルト展覧会の会場構成や、初期の住宅模型に始まり、近作の大型建築に至るまで多岐にわたる。中に頭を入れられる模型や、原寸大で中に入れる模型など「体験できる展示」も数多くある。坂氏がつくってきた空間を疑似体験できる仕掛けが満載だ。

「紙の大聖堂」の10分の1サイズの模型。大地震で被災したニュージーランド・クライストチャーチで、坂氏が設計した教会。可動椅子に座って模型の中まで入り、途中で頭を上に出すユニークな仕掛けになっている(写真:西岡 梨夏)
「紙の大聖堂」の10分の1サイズの模型。大地震で被災したニュージーランド・クライストチャーチで、坂氏が設計した教会。可動椅子に座って模型の中まで入り、途中で頭を上に出すユニークな仕掛けになっている(写真:西岡 梨夏)
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「紙の大聖堂」の模型内部(写真:西岡 梨夏)
「紙の大聖堂」の模型内部(写真:西岡 梨夏)
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紙の茶室の原寸大模型。中に入れる(写真:西岡 梨夏)
紙の茶室の原寸大模型。中に入れる(写真:西岡 梨夏)
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