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 パナソニックホールディングスは2022年7月18日、25年開催予定の大阪・関西万博に向けた「1000日前キックオフイベント」を行い、同グループが出展する民間パビリオンのパースを初公開した。パビリオン名は「ノモの国」で、設計は永山祐子建築設計(東京・新宿)が手掛ける。

パナソニックグループのパビリオン「ノモの国」の外観イメージ(資料:パナソニックホールディングス)
パナソニックグループのパビリオン「ノモの国」の外観イメージ(資料:パナソニックホールディングス)
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内観イメージ(資料:パナソニックホールディングス)
内観イメージ(資料:パナソニックホールディングス)
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 永山祐子建築設計を主宰する永山祐子氏は22年3月に閉幕したドバイ万博の日本館でデザインアーキテクトを務め、人気パビリオンとして高い評価を得たばかりだ。大阪・関西万博ではパナソニックグループのパビリオンを設計し、5年に一度の万博(国際博覧会)に連続参加することが決まった。

 パナソニックグループのパビリオンは、大屋根(リング)の外側ではあるが、向かいが日本館で、隣が民間の「三菱未来館」「住友館(仮称)」という日本勢が集中するエリアに位置する。日本館の奥には大・小の催事場や迎賓館が並ぶ。

22年7月時点の会場配置図(資料:2025年日本国際博覧会協会)
22年7月時点の会場配置図(資料:2025年日本国際博覧会協会)
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 パナソニックグループが掲げたパビリオンのコンセプトは、「解き放て。こころと からだと じぶんと せかい。」である。「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現という、同グループの存在意義について議論する中で生まれたフレーズだ。

 様々なモノはココロの持ちようによって、その捉え方が変わる。モノはココロを映す「映し鏡」であるという考えに至ったという。そこで、モノが鏡に映って反転した「ノモ」という造語を用いて、パビリオンをノモの国と名付けた。

 ノモの国では、2010年以降に生まれた、全員が21世紀生まれの初めての世代である「α世代」の子どもたちに、物も心もサステナブルもウェルビーイングも全てはつながっているという「循環」の考え方の下、「つながる世界の中の自分に気づいてもらう体験を提供する」(パナソニックホールディングスの小川理子関西渉外・万博担当参与)。

 公開されたパースを見ると、パビリオンのファサードは光を反射するような素材で構成されているようだ。使う素材はまだ決まっておらず、「検討中」(永山氏)という。

 ただ、永山氏が近年手掛けてきた設計のモチーフが凝縮されている印象を受ける。「光」「水」「風」「揺らぎ」「膜」といったキーワードが頭に浮かぶ。今回は架空の国を舞台にしたパビリオンの設計という変わったお題だが、「私なりの解釈で自由にプランを提案した」と、永山氏は言う。

 ファサードの膜を一つひとつよく見ると、無限を表す「8の字」の形をしていることに気づく。これはパナソニックグループが示した循環を表す2つの円から着想を得たものだ。

パナソニックグループが示した循環を表す2つの円(背景スライドの右上)から、永山氏(中央の登壇者)は無限を表す「8の字」形を着想した(写真:日経クロステック)
パナソニックグループが示した循環を表す2つの円(背景スライドの右上)から、永山氏(中央の登壇者)は無限を表す「8の字」形を着想した(写真:日経クロステック)
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 「循環を表すモチーフが集まり、ファサード全体を形成することで、私たちも循環する世界の一部であることを表現したい」(永山氏)

 永山氏は、風で揺らぐ軽やかで自由な建築で、来場者の感覚に訴えかけたいとしている。揺らぎながら出来上がるファサードの形は、そのときの条件によって変化する。キラキラ光りながら、常に変形するシャボン玉や泡のようにも見える。

 「最終的な形を想定できない未来の面白さを、建築を通して伝えたい。パビリオンの設計は未定な部分がまだまだ多いが、やるからにはドバイよりもハードルが高いものに挑戦する」と話す。1000日前キックオフイベントに出席した永山氏は、「今日の登壇はすごいプレッシャーだった」と終了後に明かした。

 最後には、子どもたちの心が解き放たれる空間づくりを目指さなければならない。コンセプトもノモの国という題材も、それを体現する建築も難しいテーマであることは間違いない。