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 日本のものづくり産業などの技術力を結集すれば、豊かな都市をつくるための世界に類のない取り組みが可能になる。大阪・関西万博を実証機会とするために、タイミングとして「待ったなし」。人間とロボットが共存する都市のデジタル共通基盤「コモングラウンド」構築に向け、大阪で共同実験が始動する。

 大阪商工会議所は2020年7月21日、異業種企業による共同実験場となる「コモングラウンド・リビングラボ」の設置を発表した。2025年大阪・関西万博の開催を視野に収め、「人とロボットが共通認識を持つ未来社会」に向けた各種技術の実装・実証の場とする。情報通信業、製造業、建設業などが結集して次世代都市のプラットフォームを構築する、世界に先駆けた試みとなる。

 共同実験場の開設は20年秋を予定する。大阪市北区に所在する自動車部品などのメーカー、中西金属工業の本社敷地内に実験場、シェアオフィス、ライブラリーから成る作業環境を整える。

 大阪商工会議所は19年8月に、本活動の前進となる「大阪コモングラウンド実装勉強会」を設置した。NEC、NTTドコモ、NTT西日本、大阪ガス、大和ハウス工業、竹中工務店、東芝、中西金属工業、パナソニック、阪急阪神不動産、日立製作所の企業11社と、共同事務局を務める三菱総合研究所(万博みらい研究会)が参画。noizおよびgluon共同パートナーの建築家である豊田啓介氏がファシリテーターを担当し、物理的な現実の空間(実空間)とネット上のサイバー空間をシームレスにつなぐ「コモングラウンド」構築の検討を進めてきた。

大阪商工会議所による発表資料より。多様な企業に参画を募り、実証実験フィールドの運用を展開する(資料:大阪商工会議所)
大阪商工会議所による発表資料より。多様な企業に参画を募り、実証実験フィールドの運用を展開する(資料:大阪商工会議所)
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 共同実験場は会員制で運営し、今後、より広く参加企業を募る。コモングラウンドを活用したスマートシティー向けのサービスやアプリケーション、製品を提供したい企業が参画できるオープンなインキュベーションの場とするのが狙いだ。

実空間とサイバー空間をシームレスに連動させる

 コモングラウンドとは、前出・豊田氏が提唱する次世代都市のためのデジタルプラットフォームの概念だ。モノによる実空間と情報によるサイバー空間の中間領域に、お互いが重なり合う“共有基盤”を構築する。

 2025年大阪・関西万博は、経済発展と社会課題の解決を両立する人間中心の社会と定義される「Society5.0」の実現を目指す。しかし、各企業・機関による技術開発が個別に進んでしまうと、データ活用や相互の連携がスムーズにならない恐れがある。そこで、技術の適用対象である都市や建築と呼応するデジタルプラットフォームをあらかじめ用意し、日本が得意とする様々なものづくり技術を結び付ける共通基盤とし、合理的にサービスなどを開発できるようにする。

 具体的には、個人や企業などが日々生み出すデジタルデータを収集・整理すると同時に、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)技術などを活用して建築物や都市インフラの情報もデジタル化し、オープンに広く共有できるシステムを構築。実空間とサイバー空間の間でリアルタイム、かつシームレスにデータを行き来させる「汎用フィルター」のような役割を持たせる。

 建築・都市の3D(3次元)データをインデックス(索引)に用いれば、空間に存在する様々な存在を共通のデジタル情報として認識しやすくなるという考え方だ。自律型モビリティーやネット上のデジタルエージェントを含む各種のロボットと人間が共通認識を持って行動し得る社会の構築に、これを役立てる。

コモングラウンドの説明図。テーブルという「物」に対し、人間同士であれば既にお互いが持つ共通概念をもとに意識せずにテーブルを認識できる。しかし、デジタルエージェント(ロボットやバーチャルなアバターなど)がテーブルを理解するためには、それぞれの空間認識に適した形でデジタル記述を行い、様々な属性情報と共に構造化する必要がある。そのためにコモングラウンドを用意し、人間とデジタルエージェントの間の汎用フィルターとして機能させれば、無駄を減らして実用的なサービスを実現できる(資料:大阪商工会議所)
コモングラウンドの説明図。テーブルという「物」に対し、人間同士であれば既にお互いが持つ共通概念をもとに意識せずにテーブルを認識できる。しかし、デジタルエージェント(ロボットやバーチャルなアバターなど)がテーブルを理解するためには、それぞれの空間認識に適した形でデジタル記述を行い、様々な属性情報と共に構造化する必要がある。そのためにコモングラウンドを用意し、人間とデジタルエージェントの間の汎用フィルターとして機能させれば、無駄を減らして実用的なサービスを実現できる(資料:大阪商工会議所)
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 建築・都市の3Dデータとそれにひもづけられたデジタル情報を軽量に扱うためにはゲームエンジンを活用する。サービスやアプリケーションを開発するサービサーや製品を開発するメーカーが必要とするフォーマットで各種データを入手できるオープンなプラットフォームとし、データの活用機会を広げる。

 こうしたプラットフォームを構築すれば、スマートシティー向けのサービスやアプリケーション、製品の開発にかかる社会的なコストを下げることができる。新たな技術が切り開く様々な価値観をユーザーに問い掛ける機会が広がり、個々人の趣味し好に合った生活のできる豊かな都市の実現に貢献する仕組みとなり得る。

現状の「コモングラウンドがない世界」では、実空間のデータ類をサービサー各社が独自に取得し、個別にデータの最適解を決めている無駄がある。コモングラウンドを用意し、誰でも取り扱い可能なように各種空間の記述形式を汎用化しておけば、都市サービスを提供するためのデータを取得しやすくなる。結果として、アプリケーション開発の裾野を広げる効果がある(資料:大阪商工会議所)
現状の「コモングラウンドがない世界」では、実空間のデータ類をサービサー各社が独自に取得し、個別にデータの最適解を決めている無駄がある。コモングラウンドを用意し、誰でも取り扱い可能なように各種空間の記述形式を汎用化しておけば、都市サービスを提供するためのデータを取得しやすくなる。結果として、アプリケーション開発の裾野を広げる効果がある(資料:大阪商工会議所)
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都市空間のあらゆる存在を共通のデジタル情報として記述すれば、自律型モビリティーやロボットのナビゲーション、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)を用いた遠隔操作・参加サービス、設計やアイデアのシミュレーションなど様々な価値観や趣味し好に合ったサービスやアプリケーションの開発が後押しされる。万博パビリオンなどで実証・実装し、スマートシティーに展開を図れば、より豊かな都市生活の実現が期待できる(資料:大阪商工会議所)
都市空間のあらゆる存在を共通のデジタル情報として記述すれば、自律型モビリティーやロボットのナビゲーション、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)を用いた遠隔操作・参加サービス、設計やアイデアのシミュレーションなど様々な価値観や趣味し好に合ったサービスやアプリケーションの開発が後押しされる。万博パビリオンなどで実証・実装し、スマートシティーに展開を図れば、より豊かな都市生活の実現が期待できる(資料:大阪商工会議所)
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