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大阪市北区の中之島で建設が進んでいた「大阪中之島美術館」の建物が、2021年6月30日に竣工した。同館は22年2月2日にオープンする予定である。竣工を機に、報道陣に内部が初めて公開された。
2021年6月30日に竣工した「大阪中之島美術館」の建物(写真:日経クロステック)
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大阪中之島美術館の敷地面積は約1万2871m2、建築面積は約6681m2、延べ面積は約2万12m2。地上5階建てで、高さは約36.9m。構造は鉄骨造だ。総施設整備費は約156億円。
大阪中之島美術館の平面図(資料:大阪中之島美術館)
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建物の特徴は、黒いプレキャストコンクリートパネルに囲まれた箱形の外観と、内部を立体的にくりぬいた「パッサージュ」(遊歩空間)である。写真を中心に、外観と内部を順に見ていこう。なお、記者が訪れたのは報道陣を集めた内覧会とは別の日であり、館内の照明が一部暗くなっていたことをお断りしておく。
現地を訪れて最初に目に留まるのが、真っ黒な箱のような建物だ。迫力があり、サイズ以上に大きく見える。3階以上を黒い外壁で覆うことで、黒い箱が宙に浮いているように見せている。黒い外壁は3~5階にある美術品を守る役割も果たす。逆にショップなどが入居する予定の1~2階はガラス張りにして、外に開いた。
真っ黒な四角い建物。黒い箱が浮いているように見える。黒い外壁の表面は凹凸があり、ざらついている(写真:日経クロステック)
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建物には四角やL字の開口が設けられている。周囲の風景がガラスに映り込む。
建物の東側。L字の開口が目を引く。向かいは関西電力の本店(写真:日経クロステック)
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建物の南側。四角い開口もある。新設する歩行者デッキ(右手)で、隣の国立国際美術館とつながる予定(写真:日経クロステック)
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1階のエントランスから中に入ると、長い通路に出る。これがパッサージュだ。
17年2月に公募型設計競技(コンペ)で最優秀案に選ばれた遠藤克彦建築研究所の代表取締役である遠藤克彦氏のプランは、設計要件の1つだったパッサージュを建物の「背骨」に例えて中核に据えるものだ。パッサージュは誰でも通り抜けられる「小道」である。銀色に輝くパッサージュの広さは館内全体で、3442m2もある。
南北を貫く1階のパッサージュ(写真:日経クロステック)
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1階にあるホールの頭上に、箱型のチケット売り場が浮いているように設置されている。ホールは約300m2で、300席を設置可能だ(写真:日経クロステック)
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1階には約100m2のワークショップルームもある(写真:日経クロステック)
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パッサージュから高い吹き抜けの天井を見上げると、トップライトから差し込む光を確認できる(写真:日経クロステック)
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では、1階から2階ヘ階段で移動してみよう。
2階に続く階段(写真:日経クロステック)
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階段の途中から館内を見上げると、複雑に入り組んだ壁や柱、そして真っ黒なエスカレーターが目に飛び込んでくる(写真:日経クロステック)
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上ってきた階段を見下ろす。奥の通路が2階のパッサージュ。館内のパッサージュは2階を中心に上下につながり、巨大な空間を生み出している。2階のパッサージュを右に進むと、外の芝生広場に出られる(写真:日経クロステック)
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2階の北側には芝生広場がある。アーティストのヤノベケンジ氏が制作した屋外作品「シップス・キャット(ミューズ)」が既に設置されている(写真:日経クロステック)
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展示室は4階と5階にある。まずは2階から4階に直通の長いエスカレーターに乗ってみる。大阪中之島美術館のハイライトの1つだ。
2階から4階に続く、長い直通エスカレーター(写真:日経クロステック)
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3階を飛び越えて4階に続く。3階は収蔵庫になっている(写真:日経クロステック)
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黒いエスカレーターが交差するダイナミックなつくり(写真:日経クロステック)
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