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 隈研吾氏がデザイン監修するホテルが、京都にまた1軒誕生する。NTT都市開発は2021年9月7日、京都市の「元新道(しんみち)小学校跡地活用計画」において、市と新道自治連合会との三者で覚書を締結した。同社は20年12月に、市と元新道小学校跡地活用に向けた基本協定書を締結している。

 小学校の跡地にホテルを新築するとともに、隣接する「宮川町歌舞練場」を建て替える。花街文化の発展と新たなにぎわいの創出を通し、魅力ある街づくりを推進。歴史的な街並みの保全や地域コミュニティーの活性化で協力することで、市と新道自治連合会および宮川町お茶屋組合と合意した。

 この地域で長年、新道小学校と共存してきた築100年を超える歌舞練場を同時に建て替えることで統一感を出しつつ回遊性を高め、京都五花街の1つである宮川町の再生に貢献する。

新しくなる新道通エリアのイメージ(資料:NTT都市開発)
新しくなる新道通エリアのイメージ(資料:NTT都市開発)
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「元新道小学校跡地活用計画」の全体像。ホテルと歌舞練場、地域施設の3つを新築する(資料:NTT都市開発)
「元新道小学校跡地活用計画」の全体像。ホテルと歌舞練場、地域施設の3つを新築する(資料:NTT都市開発)
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 対象地は京都市東山区に位置する、元新道小学校敷地および宮川町歌舞練場敷地である。歌舞練場の建物は21年9月中に、小学校校舎は同年11月にも解体を始める。同年9月14日には解体直前の歌舞練場で、計画の全体像を説明するオンライン記者会見が開かれた。

元新道小学校の校舎。左に見えるのが宮川町歌舞練場の大屋根(写真:NTT都市開発)
元新道小学校の校舎。左に見えるのが宮川町歌舞練場の大屋根(写真:NTT都市開発)
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現在の歌舞練場。築100年を超え、近年は修繕に苦労してきた(写真:NTT都市開発)
現在の歌舞練場。築100年を超え、近年は修繕に苦労してきた(写真:NTT都市開発)
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赤印が元新道小学校跡地活用計画の場所(資料:NTT都市開発)
赤印が元新道小学校跡地活用計画の場所(資料:NTT都市開発)
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 計画の中核となるのが、いずれも新築するホテルと歌舞練場、そして地域施設である。3つの施設は、隈研吾建築都市設計事務所(東京・港)が建築デザイン監修を担当する。歌舞練場の象徴である大屋根の保存や、既存施設の外壁タイルなど部材の保管と再利用(生け捕り)も一部で実施する考えだ。

歌舞練場と地域施設の間に新しい「小路」を設け、南北に走る宮川町通と新道通を東西につなぐ計画だ。プランを説明する隈研吾氏(資料:NTT都市開発)
歌舞練場と地域施設の間に新しい「小路」を設け、南北に走る宮川町通と新道通を東西につなぐ計画だ。プランを説明する隈研吾氏(資料:NTT都市開発)
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 さらに、新しい歌舞練場や地域施設には「すだれや木格子といった宮川町の景観に合うモチーフをファサードデザインに取り入れたい」(隈研吾氏)。歌舞練場については、現在使われている照明や幕をつるす舞台装置「竹すのこ」を新しい歌舞練場のホワイエ天井に移設。劇場舞台の上部にある中央が丸く高くなった「唐破風(からはふ)」は元の位置に移設する計画だ。こうして歴史の継承を検討する。

 ホテルの外装には、寺社仏閣の意匠や歌舞練場の装飾で使われる様式を採用する。例えば、エントランスには木組みの大庇(ひさし)や竹スクリーンを使う。

 ホテルの敷地面積は約4014m2(一部地域施設を含む)、延べ面積は約1万5529m2(ホテルが1万5311m2、地域施設が218m2)。地下2階・地上4階建てで、客室数は89室を見込む。ホテルの運営会社やホテルブランドは、現時点では公表していない。

ホテルのイメージ。木組みの大庇や竹スクリーンをエントランス回りに採用する計画(資料:NTT都市開発)
ホテルのイメージ。木組みの大庇や竹スクリーンをエントランス回りに採用する計画(資料:NTT都市開発)
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 NTT都市開発は隈研吾建築都市設計事務所と組み、20年6月に複合施設「新風館」の中に「エースホテル京都」を開業した実績がある。他にも京都で複数のホテルを開発している。

 一方、歌舞練場の敷地面積は約2257m2(一部地域施設を含む)、延べ面積は5443m2(歌舞練場が4036m2、地域施設が1407m2)。地下2階・地上3階建てになる。劇場の客席数は現行の約500席と同規模にする予定だ。

 ホテルと歌舞練場、地域施設は、25年夏ごろの開業を予定している。

建て替え後の歌舞練場のイメージ。すだれと木格子をモチーフにしたファサードデザインを取り入れる(資料:NTT都市開発)
建て替え後の歌舞練場のイメージ。すだれと木格子をモチーフにしたファサードデザインを取り入れる(資料:NTT都市開発)
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 地域施設には新道自治連合会が利用する多目的室をつくり、災害時の避難所としても使えるようにする。自治会の活動スペースになる集会所や倉庫、児童館なども整備する。

地域施設のイメージ。多目的室や児童館などを備える(資料:NTT都市開発)
地域施設のイメージ。多目的室や児童館などを備える(資料:NTT都市開発)
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地域施設につくる多目的室のイメージ。水害時の避難所にもなるよう、3m以上の高さに配置する(資料:NTT都市開発)
地域施設につくる多目的室のイメージ。水害時の避難所にもなるよう、3m以上の高さに配置する(資料:NTT都市開発)
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