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 大林組は、構造材として使うCLT(直交集成板)パネルの壁と天井を工場でユニット化し、施工の品質向上と短工期を両立させる「CLTユニット工法」を開発した。2023年3月に竣工予定である自社社員寮「仙台梅田寮」(仙台市)の建設に初採用し、その施工が22年10月に佳境を迎えた。

 CLTユニット工法は、4tトラックに積めるサイズ(幅2.2m×高さ2.8m×長さ6m)で設計したCLTユニットを工場で製作し、現場に搬入する。4tトラックの利用を前提にしており、大型車が通行できない車両規制道路でも搬入を可能にした。この点がCLTユニット工法の大きなポイントだ。

1ユニットの大きさを、4tトラックに積めるサイズ以下に抑えた(写真:大林組)
1ユニットの大きさを、4tトラックに積めるサイズ以下に抑えた(写真:大林組)
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 仙台梅田寮は地上3階建てで、寮室は74部屋。木造ハイブリッド構造を採用し、国産のスギ材を925m3使う。

「CLTユニット工法」で施工中の仙台梅田寮(写真:大林組)
「CLTユニット工法」で施工中の仙台梅田寮(写真:大林組)
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地上3階建てで、寮室は74部屋ある。写真は3階部分(写真:大林組)
地上3階建てで、寮室は74部屋ある。写真は3階部分(写真:大林組)
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CLTユニットはクレーンでつり上げる(写真:大林組)
CLTユニットはクレーンでつり上げる(写真:大林組)
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 1階は鉄筋コンクリート(RC)造・一部鉄骨(S)造、2~3階が木造・一部RC造、さらに壁式構造の混構造である。CLTユニット工法は、2~3階に採用した。この寮は厳密には、中庭を囲むように4棟の建物で構成している。ロの字形の平面の各辺に4棟を並べ、耐火ゾーンを挟んで接続している。

仙台梅田寮の完成イメージ。黒い外壁や木製ルーバーなどを用いて、古い木造家屋を連想させる外観にする(資料:大林組)
仙台梅田寮の完成イメージ。黒い外壁や木製ルーバーなどを用いて、古い木造家屋を連想させる外観にする(資料:大林組)
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構造は、1階が鉄筋コンクリート造、2~3階が木造の混構造を採用した。敷地面積は2528.04m<sup>2</sup>、延べ面積は3677.47m<sup>2</sup>(資料:大林組)
構造は、1階が鉄筋コンクリート造、2~3階が木造の混構造を採用した。敷地面積は2528.04m2、延べ面積は3677.47m2(資料:大林組)
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 施工の流れを写真で見ていこう。仙台市と同じ東北地方にある協力工場で壁と天井を「門形」に組み立てたCLTユニットを、4tトラックで現場まで運ぶ。それを荷台からそのままクレーンでつり上げ、2~3階部分に据え付けていく。

トラックの荷台からそのままCLTユニットをクレーンでつり上げる(写真:大林組)
トラックの荷台からそのままCLTユニットをクレーンでつり上げる(写真:大林組)
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高くつり上げられたCLTユニット(写真:大林組)
高くつり上げられたCLTユニット(写真:大林組)
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CLTユニットを所定の位置に据え付ける(写真:大林組)
CLTユニットを所定の位置に据え付ける(写真:大林組)
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CLTユニットは2つの「寮室ユニット」と「廊下ユニット」の合計3種類ある(写真:大林組)
CLTユニットは2つの「寮室ユニット」と「廊下ユニット」の合計3種類ある(写真:大林組)
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1区画(2部屋分)を4つのユニットに分割して据え付ける(写真:大林組)
1区画(2部屋分)を4つのユニットに分割して据え付ける(写真:大林組)
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CLTユニットと床の接合場面(写真:大林組)
CLTユニットと床の接合場面(写真:大林組)
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廊下ユニットの内部(写真:大林組)
廊下ユニットの内部(写真:大林組)
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 日本では道路運搬規制で「PPVC(Prefabricated Prefinished Volumetric Construction)」の実現が難しいとされてきた。だがCLTユニット工法の実用化で大きく前進したことになる。PPVCは自立したユニットを工場などの外部で製造し、現場作業を減らす工法のことだ。工期短縮だけでなく、ほこりや騒音、振動の拡散などを最小限に抑える効果がある。

 従来、CLTパネルを用いる工法は現場でパネルを組み立てていたため、場所や天候の制約を受けやすかった。現場の人手も多く必要だ。

 大林組が開発したCLTユニット工法によく似た工法を、鹿島が22年5月に報道陣に公開している。「フライングボックス工法」である。CLTパネルで壁と天井をつくったユニットをクレーンでつり上げて据え付けるのは、大林組と同じである。

 ただし、鹿島のフライングボックス工法では建設現場の地組みヤードにPC(プレストレストコンクリート)床版を設置する。その上に壁と天井のCLTパネルを取り付けてユニット化する。室内の建具や設備機器も設置してしまう。ここが大林組との大きな違いだ。1ユニットがほぼ完全な1部屋になっている。