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 高級ホテルの建設ラッシュに沸く京都。2023年から26年にかけて、判明しているだけでも新規開業がまだまだ続く見通しだ。

 特に目立つのが外資系ホテルブランドで、かつ客室数を100室前後に抑えたスモールラグジュアリーホテルである。25年に開催される大阪・関西万博のために来日する海外の富裕層を取り込み、スタートダッシュを成功させようともくろむホテルが多い。

 ホテルの内外観はいずれも、京都らしい和風モダンなデザインになりそうだ。23年の年明け時点で明らかになっているホテルの完成イメージを見比べてみよう。

 23~24年に開業を控える代表的なホテルは、以下の3つだ。「デュシタニ京都」「バンヤンツリー・東山 京都」「シックスセンシズ 京都」である。アジアで人気のホテルが立て続けにオープンする。いずれも日本初進出で、京都を選んだ。

2023年秋に開業予定であるタイのホテル「デュシタニ京都」(出所:安田不動産)
2023年秋に開業予定であるタイのホテル「デュシタニ京都」(出所:安田不動産)
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24年春に開業予定のホテル「バンヤンツリー・東山 京都」(出所:ウェルス・マネジメントグループ、サムティ)
24年春に開業予定のホテル「バンヤンツリー・東山 京都」(出所:ウェルス・マネジメントグループ、サムティ)
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バンヤンツリー・東山 京都は、ホテル内に能舞台を設ける(出所:ウェルス・マネジメントグループ、サムティ)
バンヤンツリー・東山 京都は、ホテル内に能舞台を設ける(出所:ウェルス・マネジメントグループ、サムティ)
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京都国立博物館の隣にできるホテル「シックスセンシズ 京都」(出所:ウェルス・マネジメントグループ、サムティ)
京都国立博物館の隣にできるホテル「シックスセンシズ 京都」(出所:ウェルス・マネジメントグループ、サムティ)
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シックスセンシズ 京都の客室例(出所:ウェルス・マネジメントグループ、サムティ)
シックスセンシズ 京都の客室例(出所:ウェルス・マネジメントグループ、サムティ)
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 同様の規模のホテル「リージェント京都」も24年に開業が予定されている。こちらは老舗料亭「岡崎つる家」の敷地にホテルを構える。

24年に開業予定のホテル「リージェント京都」。写真は「岡崎つる家」の建物と庭園で、一体で開発する(写真:英IHGホテルズ&リゾーツ、GI キャピタル・マネジメント)
24年に開業予定のホテル「リージェント京都」。写真は「岡崎つる家」の建物と庭園で、一体で開発する(写真:英IHGホテルズ&リゾーツ、GI キャピタル・マネジメント)
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 これから進出する外資系ホテルでは珍しく、300室を超える大型ホテル「ヒルトン京都」も24年に開業する。ただし、ヒルトンは21年にスモールラグジュアリーホテル「ROKU KYOTO、LXR Hotels & Resorts」、22年には宿泊特化型のホテル「ヒルトン・ガーデン・イン京都四条烏丸」を京都に出店済みだ。23年夏には「ダブルツリーbyヒルトン京都東山」も開業予定。21~24年の4年間に、ヒルトン京都を含めて合計4件のヒルトン系ホテルが誕生することになる。

 ヒルトンは客層や用途に応じて、ホテルを使い分けられるようにしている。日本側のパートナー企業もそれぞれ異なる。東京建物と組むヒルトン京都は宴会場を備え、団体客にも対応できるホテルになる。

300室を超える大型ホテル「ヒルトン京都」(出所:東京建物、米ヒルトン)
300室を超える大型ホテル「ヒルトン京都」(出所:東京建物、米ヒルトン)
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大型ホテルになるヒルトン京都のレセプション。天井が高い(出所:東京建物、米ヒルトン)
大型ホテルになるヒルトン京都のレセプション。天井が高い(出所:東京建物、米ヒルトン)
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 25~26年も外資系ホテルの進出は止まらない。「シャングリ・ラ ホテル 京都二条城計画(仮称)」「カペラ京都」「京都相国寺門前町計画(仮称、ローズウッドホテルグループ)」などが予定されている。京都市は17年から「上質宿泊施設誘致制度」の運用を始め、意図的にラグジュアリーホテルを増やしている。

上質宿泊施設候補に選ばれた「シャングリ・ラ ホテル 京都二条城計画(仮称)」(出所:サムティ、シャングリ・ラグループ)
上質宿泊施設候補に選ばれた「シャングリ・ラ ホテル 京都二条城計画(仮称)」(出所:サムティ、シャングリ・ラグループ)
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シンガポールのホテル「カペラ京都」が日本に初進出(出所:NTT都市開発)
シンガポールのホテル「カペラ京都」が日本に初進出(出所:NTT都市開発)
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 外資系の攻勢に対し、国内勢では26年春に帝国ホテルが「弥栄会館計画(仮称)」で祇園に進出する。そのころには京都の高級ホテル市場は、かなりの飽和状態になっているかもしれない。

 既に京都に進出済みで、リピート客を抱え始めている「ザ・リッツ・カールトン京都」「翠嵐(すいらん)ラグジュアリーコレクションホテル 京都」「フォーシーズンズホテル京都」「パーク ハイアット 京都」「アマン京都」などの先行組を含め、高級ホテルが京都で火花を散らす。