2015年から全国で本格化した高速道路の床版更新。これまでは交通量の少ない路線や迂回路のある路線などから順に、上下線いずれかを通行規制して工事を進めてきた。今後は、対面通行にすると大渋滞が生じてしまう交通量の多い路線の床版更新が待ち構えている。
中日本高速道路会社はこの問題を解決するために、中央自動車道の弓振川橋の床版取り換えで新たな工法を試行中だ。中日本高速と大林組が共同開発した床版取り換え工法「DAYFREE(デイフリー)」を採用している。交通量の比較的少ない夜間に1車線を規制するだけで工事できる。
床版の取り換え工事は、既設床版の撤去、桁の付着物の除去、新しい床版の設置、床版接合部のコンクリート打設、防水・舗装――と5つの工程に大別できる。
1夜間だけでこれらの作業を終わらせるのは困難なので、仮設床版を一時的に設置・撤去するステップを新たに加え、2日間に分割して施工する。1日目の夜間に既設床版を撤去した後、仮設床版を設置し仮舗装して、翌朝に交通を開放。そして2日目の夜間に仮設床版を撤去して、新しい床版を架設する。
「夜間の作業時間は午後6時から翌朝午前6時までの12時間。交通規制に2時間、後片付けなどに1時間程度と考えると、実質は8時間で作業しなければならない」。こう話すのは、中日本高速松本保全・サービスセンターの酒井修平所長だ。
初の試みなので、夜間で所定の作業が終わらない恐れがあった。そこで弓振川橋では、昼間の交通開放はせずに1車線を規制したまま工事を実施。作業時間などを検証している。
ただし、「仮設床版の設置・撤去といったDAYFREEに必要な工程は順守している」と、監理技術者を務める大林組の中央道弓振川橋工事事務所の西川祐輔工事長は説明する。