日本生命保険と積水ハウスが福岡市中央区天神1丁目に所有し、現在既存ビルの解体工事を進めている「天神1丁目北14番街区ビル(仮称)」が2021年12月13日、福岡市の制度「天神ビッグバンボーナス(BBB)」の適用を受けたことが明らかになった。市が進める「感染症対応シティ」の取り組みを進め、天神地区に新しい空間と雇用を生み出すプロジェクト「天神ビッグバン」に貢献する。
天神1丁目北14番街区ビル(仮称)は「日本生命福岡ビル」および「福岡三栄ビル」を建て替えるものだ。新しい複合施設は地下2階・地上18階建てで、高さは約88m。設計は久米設計(都市計画・建築計画)が担当し、施工は大林組が手掛ける予定になっている。
敷地面積は約3050m2、延べ面積は約3万9300m2。事務所や店舗が入居し、25年3月の竣工を予定している。天神地区を南北に結ぶ新たな歩行者空間(プロムナード)を形成する。並行して走る都市計画道路「天神通線」と一体化した構成になる見通しだ。
明治通りを挟んで斜め向かいには、21年9月30日に竣工したばかりの「天神ビジネスセンター」が立つ。
このプロジェクトが適用を受けた天神BBBは、天神の魅力を高める一定の要件を満たすビルを市が認定し、インセンティブを付与する制度である。建物の容積率や航空法高さ制限の特例承認といった規制緩和により、耐震性が高く、ウィズコロナやポストコロナに対応した先進的なビルへの建て替えを促進する狙いがある。
中でも注目を集めているのは、コロナ禍の20年8月に市が発表した感染症対応シティの実現に向けた取り組みだ。オフィスへの自然換気システムの導入や、通行量が多い箇所での非接触検温センサーの設置、広場やオフィスエントランスでのWi-Fi提供による通信環境の充実、身体的距離(ソーシャルディスタンス)の確保などを指す。
今回のプロジェクトで一例を挙げると、建物の外装材と一体になった自然換気システムの導入がある。
具体的にどの施策をどれだけ取り入れるかはプロジェクトごとの判断になる。ただし、「感染症対応シティに賛同いただけた事業者には、できる限り多くの取り組みを盛り込んでいただく。非常に前向きに検討してもらえている」(福岡市)。