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 ここは「エッシャーのだまし絵」の世界を再現した場所なのか? そう思えてくるような驚きの吹き抜け空間が客人を出迎える。

まるで「だまし絵」のような、白井屋ホテルの吹き抜け空間。床を解体して既存躯体(くたい)の柱や梁(はり)を現(あらわ)しにし、らせん階段や空間を斜めに横切るブリッジを設けた(写真:日経クロステック)
まるで「だまし絵」のような、白井屋ホテルの吹き抜け空間。床を解体して既存躯体(くたい)の柱や梁(はり)を現(あらわ)しにし、らせん階段や空間を斜めに横切るブリッジを設けた(写真:日経クロステック)
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夜の吹き抜け空間。コンクリートの躯体と光るパイプのアートが調和している(写真:日経クロステック)
夜の吹き抜け空間。コンクリートの躯体と光るパイプのアートが調和している(写真:日経クロステック)
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 建築家の藤本壮介氏が設計した「白井屋ホテル/SHIROIYA HOTEL」が、2020年12月12日に前橋市で開業した。ホテルは2棟から成る。前身の老舗旅館で、08年の廃業後に建物が放置されていた「白井屋」を改修した既存棟「ヘリテージタワー」。片や、利根川の旧河川の土手をイメージして新築した新棟「グリーンタワー」の2つだ。

 藤本氏がホテルの設計を手掛けたのは初めて。藤本壮介建築設計事務所(東京・江東)が、既存棟の改修設計と新棟の設計を担当した。

大胆に現代アートをあしらった「白井屋ホテル/SHIROIYA HOTEL」の正面。こちらは老舗旅館「白井屋」の建物をリノベーションした「ヘリテージタワー」。70年代に建て替えられたときのコンクリート躯体をむき出しにした外観が特徴(写真:日経クロステック)
大胆に現代アートをあしらった「白井屋ホテル/SHIROIYA HOTEL」の正面。こちらは老舗旅館「白井屋」の建物をリノベーションした「ヘリテージタワー」。70年代に建て替えられたときのコンクリート躯体をむき出しにした外観が特徴(写真:日経クロステック)
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人工の「緑の丘」に白い小屋が点在する。利根川の旧河川の土手をイメージして新築した「グリーンタワー」。客室は丘の内部に埋め込んだ(写真:日経クロステック)
人工の「緑の丘」に白い小屋が点在する。利根川の旧河川の土手をイメージして新築した「グリーンタワー」。客室は丘の内部に埋め込んだ(写真:日経クロステック)
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 運営は白井屋ホテル(前橋市)で、客室数は2棟合計で25室だ。このホテルを目掛けて、年末年始に建築やアート好きが次々と前橋を訪れている。筆者もその1人だ。

現しにした躯体の一部は、新たに設けた外の通路空間にも利用している(写真:日経クロステック)
現しにした躯体の一部は、新たに設けた外の通路空間にも利用している(写真:日経クロステック)
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既存棟(右)の正面入り口と裏手の新棟をつなぐ屋外通路。誰でも通り抜けができ、人々の交流を促す。白井屋のサインは、改修前からあったものを白く塗装して残した(写真:日経クロステック)
既存棟(右)の正面入り口と裏手の新棟をつなぐ屋外通路。誰でも通り抜けができ、人々の交流を促す。白井屋のサインは、改修前からあったものを白く塗装して残した(写真:日経クロステック)
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白井屋ホテルの全体像。交通量が多い国道50号に面するのが既存棟、水路がある馬場川通りに接するのが新棟。赤い矢印が既存棟と新棟を結ぶために設けた通路。図中の数字は主要なアートの展示位置(資料:白井屋ホテル、矢印は日経クロステックが追加)
白井屋ホテルの全体像。交通量が多い国道50号に面するのが既存棟、水路がある馬場川通りに接するのが新棟。赤い矢印が既存棟と新棟を結ぶために設けた通路。図中の数字は主要なアートの展示位置(資料:白井屋ホテル、矢印は日経クロステックが追加)
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新棟てっぺんの小屋は、アートの展示室になっている。緑の丘の階段を上って小屋まで行く。ここには宿泊者だけが立ち入れる(写真:Shinya Kigure)
新棟てっぺんの小屋は、アートの展示室になっている。緑の丘の階段を上って小屋まで行く。ここには宿泊者だけが立ち入れる(写真:Shinya Kigure)
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夜には、デジタルカウンターを用いた宮島達男氏のアート作品が輝く。既存棟の中の光るパイプも新棟側から見える(写真:日経クロステック)
夜には、デジタルカウンターを用いた宮島達男氏のアート作品が輝く。既存棟の中の光るパイプも新棟側から見える(写真:日経クロステック)
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 オランダの画家、M.C.エッシャーの絵を知っている人なら、冒頭のような印象を持っても不思議ではない気がする。少なくとも筆者は、改修されたホテル最大の自慢である4層の吹き抜けを見下ろしたとき、そう思った。

 もちろん、吹き抜けはだまし絵ではない。現実の建築だ。

 1970年代に白井屋旅館がホテルに転換した際、鉄筋コンクリート造に建て替えた建物の床を藤本氏は解体し、既存躯体の柱や梁を現しにした。そこにらせん階段や空間を斜めに横切るブリッジを設け、躯体に絡みつくようなアート作品や大量の植栽を配置した。吹き抜けは、一目見ただけでは空間構成を把握しにくい唯一無二の場所になっている。

 アートや緑がなければ、吹き抜けはだいぶ殺風景で、印象が全く違うものになっていたはずだ。建物の改修とアート制作が同時に進められたからこそ、この空間が生まれたといえる。

 この記事では、開業直後に白井屋ホテルに自腹で宿泊した筆者の体験を基に、写真主体でホテルの見どころを紹介する。建物の内部は、見る位置や角度、時間帯によって全く違った表情を見せる。それを写真で疑似体験してもらいたい。今後増加する建築物の改修を検討するうえで、1つのモデルケースになるだろう。

 まずは、吹き抜けがある既存棟のヘリテージタワーから見ていこう。地上4階建てで、1階にフロントとロビーラウンジ、レストランがある。2~4階が客室だ。館内や各部屋には様々なアートや植物が置かれているのが特徴である。

既存棟1階のエントランス(写真:日経クロステック)
既存棟1階のエントランス(写真:日経クロステック)
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エントランスを抜けると、正面にホテルフロントとアーティストの杉本博司氏の作品が目に飛び込んでくる(写真:日経クロステック)
エントランスを抜けると、正面にホテルフロントとアーティストの杉本博司氏の作品が目に飛び込んでくる(写真:日経クロステック)
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フロント左に見えてくる4層の吹き抜け。右はレストラン、正面奥がロビーラウンジ(写真:日経クロステック)
フロント左に見えてくる4層の吹き抜け。右はレストラン、正面奥がロビーラウンジ(写真:日経クロステック)
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ロビーラウンジの中央に置かれた大きな植物。館内は観葉植物であふれている。植木がロビー空間を緩やかに仕切る。緑の回りにはソファや椅子、テーブルを数多く配置(写真:日経クロステック)
ロビーラウンジの中央に置かれた大きな植物。館内は観葉植物であふれている。植木がロビー空間を緩やかに仕切る。緑の回りにはソファや椅子、テーブルを数多く配置(写真:日経クロステック)
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フロントに近いらせん階段を上ってみる。ここから先は宿泊者しか入れない。写真は筆者(写真:日経クロステック)
フロントに近いらせん階段を上ってみる。ここから先は宿泊者しか入れない。写真は筆者(写真:日経クロステック)
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コンクリートの躯体と様々な方向に延びる階段や通路、多彩な植物の緑、パイプを模したアート、巨大なテキスタイルなどが吹き抜け空間に入り交じる。パイプはアーティストのレアンドロ・エルリッヒ氏が白井屋ホテルのために制作したサイトスペシフィックアート「Lighting Pipes(ライティングパイプ)」。かつて躯体の回りに配管が張り巡らされていたことに着想を得た作品(写真:日経クロステック)
コンクリートの躯体と様々な方向に延びる階段や通路、多彩な植物の緑、パイプを模したアート、巨大なテキスタイルなどが吹き抜け空間に入り交じる。パイプはアーティストのレアンドロ・エルリッヒ氏が白井屋ホテルのために制作したサイトスペシフィックアート「Lighting Pipes(ライティングパイプ)」。かつて躯体の回りに配管が張り巡らされていたことに着想を得た作品(写真:日経クロステック)
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むき出しの梁の上に載った、吹き抜け空間を斜めに横切るブリッジ(写真:日経クロステック)
むき出しの梁の上に載った、吹き抜け空間を斜めに横切るブリッジ(写真:日経クロステック)
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最上階の4階から吹き抜けを見下ろすと、エッシャーのだまし絵の世界に思えてくる(写真:日経クロステック)
最上階の4階から吹き抜けを見下ろすと、エッシャーのだまし絵の世界に思えてくる(写真:日経クロステック)
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吹き抜け上部にあるトップライトからは、青空が見える(写真:日経クロステック)
吹き抜け上部にあるトップライトからは、青空が見える(写真:日経クロステック)
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大きな植物が2層分の高さまで伸びる。他にも本物の観葉植物を所狭しと並べた(写真:日経クロステック)
大きな植物が2層分の高さまで伸びる。他にも本物の観葉植物を所狭しと並べた(写真:日経クロステック)
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