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「垂直に深掘り」のSaaSモデル、多業種へ

 ABEJAは小売業向けSaaSを成功モデルに、製造や物流、ヘルスケアなど様々な業種に業種特化型のSaaSを投入する考えだ。

 ただし、市場へのアプローチの仕方はやや異なる。「製造やヘルスケアなどに向けたSaaSは単独だと参入が難しい。例えば製造はダイキン工業、ヘルスケアはトプコンといった非ITのパートナー企業と連携しながら事業を開拓する」と岡田社長は戦略を明かす。

 グーグルが2018年12月にABEJAに数億円を出資したのも、こうしたSaaS戦略を評価してのことだろう。業種特化型SaaSについてはグーグルとABEJAに競合する点はなく、深層学習フレームワークの活用やITインフラなどで互いに協業できる余地は大きい。

 ABEJAが2019年3月5日に開催したイベントに登壇したグーグル・クラウド・ジャパンの阿部伸一代表は「ABEJAは特に小売りと製造でユーザー企業と実績を積んでおり、我々も注目している。ABEJAと一緒にプラットフォームを作っていきたい」と語った。

 「ABEJAにとって、日本はあくまでも1つのリージョン(地域)だ」。こう話す岡田社長は2017年3月にシンガポールに拠点を設置。APAC(アジア太平洋)地域にABEJA Platformを拡販することを目指している。

自社イベント「SIX 2019」に登壇したABEJAの岡田陽介社長
自社イベント「SIX 2019」に登壇したABEJAの岡田陽介社長
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 「かゆいところに手が届く」PaaSと「垂直に深掘りした」SaaSという2つを武器に、世界に販路を広げようとしているABEJA。グーグルやAWSといったAIの巨人とつかず離れず協業しつつ、巨人たちとは異なる競争軸を絶えず見いだすことで、成功への道を切り開く。