全2341文字
PR

本当にすごかったのは液晶画面の搭載

 実は、QV-10で最も斬新かつ後発の製品に大きな影響を与えたのはサイズでも価格でもなく、液晶画面を搭載していたことだった。

 当時、商品企画を担当していた同社 執行役員 事業開発センター イメージング開発統轄部長の中山仁氏は「1.8インチのTFT液晶画面を搭載しており、撮影したその場で写真を見られた。それ以前のデジタルカメラは、PCからカメラの中の画像を見る使い方だった」と指摘する。

 液晶画面の搭載によって、写真の撮り方が変わった。フィルムカメラは撮影して現像に出し、仕上がったものを見るまで、写りや出来が分からなかった。QV-10の場合、撮影した写真はすぐに液晶画面に表示される。出来栄えが悪ければ、その場で削除して撮影し直すことが可能になった。

 またQV-10には、ファインダーが無かった。撮影スタイルも「カメラを少し体から離して構え、液晶画面を見ながらシャッターを押す」に変わった。

 液晶画面の搭載は、後発のコンデジにも影響を与えた。現在のコンデジは、大きさや見やすさこそ当時とは違えど、液晶画面は当然のように搭載されている。

背面に液晶画面を備える。ファインダーは無い
背面に液晶画面を備える。ファインダーは無い
[画像のクリックで拡大表示]

「いかにもカメラ」ではない、企画開始時はカメラでさえなかった

 カシオはQV-10を、カメラをデジタル化した機器として作ったわけではない。目指していたのは新しいビジュアルコミュニケーションツールだった。記録することはもちろん、人に見せる、見て分かるメモにする、PCに取り込んでネットで公開するといった、様々な使い方に対応する機器として開発したのだ。

 そのため、QV-10にはカメラにはあって当然の一部機能が無い。典型例がストロボだ。「薄暗くても明るく撮れる仕様だったので、ストロボを使って撮るといったいかにもカメラという使い方ではなく、手軽にどんどん撮影してもらうのがいいと考えた。本体サイズや、電力消費も考慮して、フラッシュ無しと割り切った」(中山氏)。

カシオ計算機 執行役員 事業開発センター イメージング開発統轄部長の中山仁氏
カシオ計算機 執行役員 事業開発センター イメージング開発統轄部長の中山仁氏
[画像のクリックで拡大表示]