全1996文字
PR

 中国・華為技術(ファーウェイ)は2019年11月21日に東京都内で記者説明会を開催し、同社会長の梁華氏が日本企業に取引拡大を呼びかけた。説明会の趣旨は「ファーウェイの日本市場への経済効果」という同社に都合の良いデータを紹介するもので、しかも同社のサプライヤーが生み出した付加価値や雇用などの波及効果も含んでおり、我田引水の印象は否めない。ただし、同社が公表した数値には無視できないものもあった。日本企業からの調達額だ。

ファーウェイ会長の梁華氏は日本企業に協業を呼びかけた(撮影:日経 xTECH)
ファーウェイ会長の梁華氏は日本企業に協業を呼びかけた(撮影:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

 梁氏は、2019年1~9月の日本企業からの調達額が7800億円に達したことを明らかにした。さらに、2019年通年では1兆1000億円に達する見込みだという。見込み通りに推移すれば、2018年通期の7210億円から実に52.6%の増加となる。同社の2019年1~9月の連結売上高は前年同期比24.4%増の6108億人民元(9兆1620億円、1人民元=15円換算)だったので、事業の成長を上回る勢いで日本企業からの調達が増えている。

ファーウェイの日本企業からの調達額は急速に増えている。2019年1~9月は実績値、同年通期は見込み(実績値の出所:ファーウェイ)
ファーウェイの日本企業からの調達額は急速に増えている。2019年1~9月は実績値、同年通期は見込み(実績値の出所:ファーウェイ)
[画像のクリックで拡大表示]

 その要因は、日本企業各社の“努力”もさることながら、米中貿易摩擦の余波によるところが大きい。米商務省が2019年5月16日にファーウェイおよび関連会社を禁輸対象リスト(エンティティーリスト)に追加したことで、同社は米政府の許可を得なければ米国企業の製品などを購入できなくなった。この禁輸措置には猶予期間が設けられており、米商務省は同年11月18日にさらに90日間の猶予期間の延長を発表しているが、ファーウェイと米国企業の取引に大きな影響を及ぼした。日本企業はいわばその穴を埋める形で同社への供給を加速度的に増やしてきたともいえる。

 米国企業からの調達に常に不安がつきまとうファーウェイにとって、日本企業の重要性は高まるばかりだ。梁氏は、「ファーウェイの展開する5G(第5世代移動通信システム)やAI(人工知能)に日本企業の技術は不可欠」「日本企業のグローバル展開にファーウェイは(クラウドコンピューティングなどの)インフラで貢献できる」などと語り、一層の協業を訴求した。

重要部品ほど内製化の対象に

 思わぬ“特需”に沸いた格好の日本企業だが、決して手放しでは喜べない。ファーウェイは単に外部調達を増やすだけではなく、重要部品の内製化も着々と進めているからだ。前述のような調達リスクを抱えている同社にとっては、限られた企業からしか調達できない部品や技術ほど、真剣に内製化を検討する対象となる。同社は“裏方”のインフラに徹して顧客の事業分野には進出しないという基本方針を掲げるが、裏を返せばAIコンピューティング用プロセッサーのようにインフラになると判断した分野には全精力を傾ける。