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 2輪車で世界3強に入るヤマハ発は、Gogoro陣営に加わることを選択した。同陣営の共通化した電池パックをヤマハ発が開発する専用車両に載せ、2019年夏から台湾で発売する。

 各社がリスクを負ってでも陣取り合戦に挑もうとするのは、車両販売以外の利益が狙えるから。売り切り型の従来のビジネスモデルを脱却し、電池の交換サービスで稼ぐモデルをつくる。いつ・どこで・誰が利用しているのかといったデータも収益源になり得る。市場が求める新たな車両やサービスの開発に生かせるからだ。

乗用車への適用が鬼門

 サービス事業者への転身を見据え、様々な企業が電池交換式モビリティーの開発を急ぐ。ただし、この仕組みは車格によって向き不向きがある。自動車メーカーの技術者たちは「(適用できるのは)せいぜい超小型モビリティーまで」と口をそろえる。車両が大きくなると、交換用の電池も大きく重くなったり、交換ステーションが大規模になったりして整備が難しくなるからだ。

 商用車は例外である。特に配送用の小型トラックは、1日当たりに走る経路や範囲を特定しやすいため、交換ステーションの位置を決めやすい。積極的なのがいすゞ自動車だ。同社は2019年度に小型トラック「エルフ」を基にした車両を複数の自治体に提供し、ゴミ収集車として運用を始める。

 鬼門は乗用車だ。車両質量は超小型モビリティーの3倍程度で、軽自動車でも2倍となる。車両質量比で2輪車や超小型モビリティー以上に大容量の電池を載せる必要がある。走行する経路や範囲を特定しにくく、交換ステーションの整備が難しい。

 かつて、電池交換式の仕組みを乗用車に適用しようとしたのが米ベタープレイス(Better Place)である。日産自動車と提携するなどして車両を開発し、世界の複数都市で実証運用していた(図4、5)。

図4 米Better Placeの日本法人が2010年に公開した電池交換式タクシーのデモ(撮影:編集部)
図4 米Better Placeの日本法人が2010年に公開した電池交換式タクシーのデモ(撮影:編集部)
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図5 約1分で車両の下部から交換式の電池を入れ替える(撮影:編集部)
図5 約1分で車両の下部から交換式の電池を入れ替える(撮影:編集部)
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