クラウドへの期待が大きいせいか、「こんなものか」という利用企業の嘆き節が聞かれる。70社の事例を検証すると、クラウドを巡っては「5大がっかり」があることが判明した。
クラウドの新サービスは、米国で最初に一般提供が始まってから日本で提供開始になるまで時間差があるものが少なくない。米国から2年遅れるケースもあり、クラウドの利用企業からは「こんなに時間がかかると思わなかった」という声が聞こえてくる。
パナソニックで、画像認識AI(人工知能)機能を持つエッジ端末とカメラを組み合わせたIoT(インターネット・オブ・シングズ)プラットフォーム「Vieureka(ビューレカ)」を担当する、ビジネスイノベーション本部 ビジョンセンシングPFプロジェクト 主任技師の若井良平氏もその一人だ。
若井氏らが日本での提供開始を待ったのは「Amazon Elastic File System(EFS)」。米アマゾン ウェブ サービス(Amazon Web Services)のクラウド「Amazon Web Services(AWS)」の共有ファイルストレージサービスである。
2017年2月にVieurekaの拡張性を高めるため、ある機能を仮想マシン1台ではなく複数台で並列処理させることにした。そのとき、複数台の仮想マシンで共有できるストレージとしてAmazon EFSが必要になった。「EFSを使えばシンプルな構成で並列処理が可能になる」(若井氏)。
EFSの一般提供は当時、米国のバージニア北部やオレゴン、アイルランドなどのリージョン(広域データセンター群)で始まっていた。しかし海外リージョンのサービスを使うことは、Vieurekaのセキュリティーポリシーの問題で難しい。EFSを使うには、日本のリージョンでの提供を待つ必要があった。
若井氏はいつごろ日本(東京リージョン)での提供が始まりそうかを探ったが、「全く分からなかった」という。