AIやIoTを活用する企業が急増するなか、デジタル化を担う人材は貴重な戦力。3000人調査から「デジタルの仕事」の実態に迫る。今回と次回は労働時間に焦点を当てる。
長時間労働のイメージが強いIT業界。だがデジタル人材3000人を対象とした今回の調査からは意外な実態が浮かび上がった。労働時間の短縮が着々と進み、「長時間労働がつきもの」という業界慣行は解消されつつある。
労働時間は週平均45.4時間、長時間労働も残る
まず「1週間当たりの平均労働時間」を尋ねた。祝祭日がない週(週休2日制なら平日5日)を想定して、2018年通年の実績を答えてもらった。
最も多いのは「40時間以上50時間未満」で、ほぼ半数の48.6%が挙げた。2番目に多いのは「50時間以上60時間未満」(20.3%)、3番目に多いのは「30時間以上40時間未満」(14.9%)だった。
労働時間が40時間未満の回答者は「30時間以上40時間未満」と「週30時間未満」(9.1%)を合わせて24.0%である。厚生労働省が定めた法定の週40時間労働を基準にすると、約4人に1人が時間外労働なしのペースで働いている計算になる。全体の平均は45.4時間だった。
一方で、長時間労働が常態化している職場も残る。4.9%は「60時間以上70時間未満」と答えた。時間外労働は週20~30時間弱となり、月次換算だと80時間を確実に超える計算だ。健康障害のリスクが高まり、労働災害認定に使われる過労死ラインに抵触する水準となる。労働時間が70時間以上と答えた回答者も2.1%いた。
自由意見では労働時間や労働環境に対する窮状を訴える声があった。「単身赴任で月当たりの残業時間が60~80時間になっている。2歳の我が子を実家に預けているが、子育てに大きな支障を来している。社内SEへの担当替えを会社に訴えているが、事情を説明しても全く聞き入れてもらえない」(30代、システムインテグレーター)などだ。この回答者は転職の道を探っているという。