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イライラ表現2:主語を表さない「は」

 助詞の不適切な使い方によって、ドキュメントの内容が分かりにくくなることがある。

 金融機関のIT部門に勤めるHさんは、主語を表さない「は」の使い方を挙げる。例えば次のような表現だ。

  • 明細データは、運用担当者が管理画面を操作することで出力する

 この文は「明細データは」で始まるので、これが主語であるかのように思える。しかし本当の主語は「運用担当者が」であり、述語の「出力する」に対応している。「明細データは」という表現は本来、「明細データについては」とすべきものだった。そうすれば、主語ではないことが明確になり、分かりやすくなる。

 「の」という助詞についても、不適切な使い方がよく見られるという。その例を次に挙げる。

  • 担当者別の売り上げの1カ月間の集計データを出力する

 「の」が3回も連続して使われているので、分かりにくくなっている。「担当者別に1カ月間の売り上げを集計し、そのデータを出力する」と表現を変えることで分かりやすくなるだろう。

 ちなみに「の」を使うことで、意味があやふやになるケースもある。「会員顧客のサブクラス」という表現があったとき、「会員顧客クラスに属するサブクラス」という意味だけでなく、「会員顧客というサブクラス」とも解釈できる。「の」を使うときは、くれぐれも気を付けたい。

イライラ表現3:参照の不一致

 設計書などのドキュメントでは、関連する項目がある場合、「~を参照」と示すことが多い。その際に、参照元と参照先の表現が微妙に異なり、誤解には至らないとしても、読み手を戸惑わせてしまうことがある。

 例えば参照元のドキュメントでは「製品コード体系については、表3-1を参照」とあるのに、参照先の表3-1を見ると「商品コード体系」が示されているというものだ。

参照元と参照先の表現が異なる例
参照元と参照先の表現が異なる例
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 「参照元と参照先の表現が微妙に違うだけでも、読み手を戸惑わせるので気を付けている」と、中堅商社のシステム子会社に勤務するIさんは話す。

 参照の不一致は、プロジェクトで用語辞書を作成していても起こるという。なぜなら、一般用語の多くは用語辞書に載せないからだ。参照の不一致が起こる一般用語とは例えば、「データの修正」と「データの訂正」、「帳票」と「レポート」、「仕入先」と「発注先」といった具合である。さらに、「コンテンツマネジメントシステム」と「CMS」のように、正式名称と略称で表現が変わる場合もある。

 そのためIさんは、ドキュメントを推敲するときに参照元と参照先の突き合わせを行い、表現を完全に一致させるように心掛けている。正式名称と略称が混在する場合は、参照元に「コンテンツマネジメントシステム(CMS)」と両者を記載することで、読み手が迷わないようにする。