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それでも難しい新規事業、創出に向けた課題と施策

 これまで、EV化の影響が大きい中堅サプライヤーにとっての新規事業創出をテーマに、事例を交えつつ事業拡大の方向性を提示し、技術と市場をつなげる方法としてMFT方法論を紹介した。このような系統的なプロセスを経ることで、天才的なひらめきが無くとも、幾つかの新規事業の仮説を立案することが可能になると考えられる。繰り返しになるが、アイデアマンやひらめきを否定するわけではなく、若手などからの斬新なアイデアは重宝すべきである。

 それでは、新規事業創出における課題は何か。確かに、筋の良い仮説立案も課題ではあるが、新規事業創出の際の最大の課題は「仮説検証型の検討の継続」である。

 もちろん、対象市場の有望性や活用する技術のユニークさなど事業仮説の内容自体が優れているに越したことはないが、それにも増して検討を継続することが重要となる。これは成功するまで諦めないといった精神論ではない。仮説検証を繰り返し、常に仮説を良い方向に更新し続ける検討の継続性を意味する。

 仮説検証型の検討を繰り返すことができれば、初期仮説の筋が多少悪くても、いずれは有望仮説にたどり着くはずである。逆に初期仮説の筋がどれだけ良くても、最初から完全を求め過ぎると、仮説検証サイクルが止まり、机上の空論で終わってしまう。実際、そのような新規事業の仮説や検討の失敗は、枚挙にいとまがない。

 新規事業は成功率が低く、どんなに事前に検討を尽くしたとしても、100年に一度ともいわれる変化の激しい現在の事業環境において、「やってみなければ分からない」ことは多い。投資を回収できる確率(成功確率)は1割未満とされる。成功確率を高めるためには、仮説・検証・評価・仮説修正を迅速に積み重ねることが有効である(図4)。

図4 新規事業の成功確率と検討方法
図4 新規事業の成功確率と検討方法
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