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CASEに伴い新規事業創出が求められる中堅サプライヤー

 具体的にどのような事業領域(部品)を生業にする中堅サプライヤーに新規事業が求められるのか。EV化により不要となることが想定される部品としては、ピストンやシリンダーなどのエンジン本体部品、カムシャフトやバルブなどの動弁系部品、インジェクターや燃料タンクなどの燃料系部品、エアクリーナーやマフラーなどの吸排気系部品、オイルパンやウオーターポンプなどの潤滑・冷却部品、イグニッションコイルやスターターなどの電装部品、クラッチやトルクコンバーターなどの駆動系部品などが挙げられる。

 事業領域として複数の部品を扱っている中堅サプライヤーも多く、ここで挙げた部品の売上構成比は企業ごとの事業ポートフォリオ次第ではある。しかし、これらの部品が売り上げの大半を占めている中堅サプライヤーにとって、新規事業創出は事業継続を懸けた死活問題である。

サプライヤーの事業拡大と新規事業の方向性

 それでは、どのように新規事業を創出すればよいのか。もちろん、アイデアマンや天才的なひらめきが豊富に存在するに越したことはないが、そのようなケースはまれであろう。また、アイデア起点は検討が順調なときはよいが、検討が息詰まり、他のテーマの探索が必要な際に方向転換が困難(新規事業に失敗はつきものであるが、その度に検討が振り出しに戻る)といったデメリットもある。

 そこで、「対象市場×バリューチェーン」で事業拡大の方向性を整理した上で、個別の新規事業の仮説を検討することが必要となる。網羅感を持って検討を進めることで、個別の新規事業案がどの方向性に属するのかが明確になり、個々の仮説間での優劣比較もしやすくなる。

 個別の新規事業には無限に近い可能性が考えられるが、サプライヤーの現業を起点とした場合の事業拡大の方向性は(既存事業の拡大を含めて)8つに大別できる。縦方向に対象市場として自動車市場(次世代車/従来車)と非自動車市場をとり、横方向に要素技術 /サプライヤー/完成品メーカーとバリューチェーンをとって整理することで、サプライヤーを中心とした事業拡大の方向性を以下のように整理した。以下、その方向性を具体的に見ていく(図2)。

図2 サプライヤーの事業拡大と新規事業の方向性
図2 サプライヤーの事業拡大と新規事業の方向性
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