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 100年に一度の大変革期を迎えている自動車業界。変わるのはクルマの機能やあり方だけではない。異分野の技術や他業界の知恵を集結し、OEM(完成車メーカー)やサプライヤーの役割、ビジネスモデルの再定義も求められる。世界有数の投資会社・KKR日本法人の社長である平野博文氏に、日本の自動車業界が目指すべき姿について聞いた(聞き手はアーサー・ディ・リトル・ジャパン)。

KKRは、国内外でどのような活動をしているのか。

 当社は1976 年にコールバーグ、クラビス、ロバーツという3 人が設立した世界で最も古い投資会社である。現在、約20 兆円の資産を米国、欧州、アジアで運用している。国別ではなく、グローバルな視点からワンチームで運用している点が特徴だ。特に、大企業から高い成長性を秘めた事業部門を切り出し(カーブアウト)、オーガニックな成長とM&Aによる非連続成長を組み合わせて競争力を強化し、企業価値を向上させる手法を得意としている。

 日本では、国内産業の重要な位置を占めている電機や自動車セクターに注目している。会社の規模があまりにも大きくなり、幅広い事業部門の隅々まで目配りして価値を最大化することが難しくなっている。傑出した技術と優秀な人材が集まっているにもかかわらず、潜在能力を発揮できない残念な状況にあるといえる。当社はこうした企業の事業部門をカーブアウトし、キメ細かな経営ができる状態にすれば、さらに光る会社へと育つ可能性が高まると考えている。

平野 博文(ひらの・ひろふみ)氏= KKR アジア地域プライベート・エクイティ共同責任者 兼 KKRジャパン 代表取締役社長
平野 博文(ひらの・ひろふみ)氏= KKR アジア地域プライベート・エクイティ共同責任者 兼 KKRジャパン 代表取締役社長
2013 年4 月KKR入社。KKR入社後はパナソニックヘルスケア、Pioneer DJ、カルソニックカンセイ、日立工機、日立国際電気の投資案件を率いた。KKR以前は、米系ターンアラウンド・コンサルティング会社のAlix Partnersで日本代表を務め、日本航空や海外M&A案件のPMIに従事。それ以前は1999 年から2006 年まで、日興プリンシパル・インベストメンツ会長として英国・日本を中心に7000億円以上の投資を行った。(撮影:小林 淳)
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